拡大する写真・図版広重の描いた江戸 名所百景はいま①

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 「東海道五十三次」の作者として知られる浮世絵師・歌川広重。歴史の教科書に登場し、ゴッホやモネにも影響を与えたとされる。そんな広重には、もう一つの代表作がある。太平の江戸を描き、絶筆となった「名所江戸百景」。

 明治維新、関東大震災、東京大空襲、そして、高度経済成長。東京と名を変えた江戸は、激変を重ね、往時の面影は……。実は、かすかに残っている。没後162年。「名所江戸百景」に描かれた江戸をたどる。

 駆け出しの相撲記者だった20年前、一枚の浮世絵に衝撃を受けた。

 いきなり話がそれるが、大相撲の行司は、式守伊之助と木村庄之助の2人が最高格で、「立行司」と呼ばれている。伊之助と庄之助には、それぞれ江戸時代から受け継がれてきた軍配がある。「譲り団扇(うちわ)」といい、いまも時折、土俵で使われている。

拡大する写真・図版伊之助の「譲り団扇(うちわ)」。何度か握ったことがあるが、手に吸い付いてくるような不思議な軍配だ

 伊之助の譲り団扇には、一つの謎がある。金文字で六個の漢字が書かれているのだが、漢和辞典に載っていない文字が多く、何と書いてあるのか、誰にも読めないのだ。しかし――。

 全く同じ軍配が、浮世絵に正確に描かれていた。その瞬間、浮世絵は、カメラのない江戸時代の写真だと感じた。

拡大する写真・図版錦絵に描かれた伊之助の「譲り団扇(うちわ)」。漢和辞典にも載っていない文字が正確に描かれている

 相撲取材の傍ら、あちこちの浮世絵を見てきた。そこには、江戸が切り取られている。強烈にひかれたのが歌川広重の「名所江戸百景」だった。絵の見事さ、美しさはもちろんだが、一枚一枚が描かれた時代背景を調べると、江戸への興味は膨らむばかりだった。

 ただ、そんな「江戸うんちく」は原稿に時々ちりばめる程度だ。まとめて紹介できないかと考え、今回の連載を始めることにした。

 江戸の町々は木戸で仕切られていた。そこの番人の「番太郎」は、生活雑貨から駄菓子まで扱う「何でも屋」だった。現代のコンビニだ。冬は一斉に焼き芋を売った。まるで「コンビニおでん」ではないか。

 歌川広重の案内で、江戸を歩いてみませんか。

拡大する写真・図版今の日本橋周辺の地図

広重が描く江戸の中心地・日本橋

《日本橋雪晴》

 「名所江戸百景」の巻頭が、「…

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