「あのとき、県民はみなショックを受けました。右左、保守革新に関係なく」
「翌月。誇りを傷つけられました」
安倍政権と沖縄を考えるとき、元自民党沖縄県連会長の嘉数昇明(かかずのりあき)さん(78)=那覇市=は2013年の二つの出来事を思い出す。
12年末の衆院選。自民党は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡って迷走した民主党から政権を奪還。沖縄4選挙区も3勝した。だが、自民県連の公約は「県外移設」だった。
党本部は離党勧告も示唆して県連に翻意を迫り、13年11月、石破茂幹事長(当時)が会見で「辺野古容認」で一致したことを公表する。石破氏の隣で、うなだれる沖縄選出国会議員5人の姿は、多くの県民に衝撃を与え、明治政府が武力を背景に琉球王国を解体した歴史になぞらえて「平成の琉球処分」と呼ばれた。
翌月。
知事選で「県外」を掲げて再選した仲井真弘多知事(当時)は、安倍首相から振興予算増額と普天間の5年以内の運用停止を約束され、「いい正月になるなあ」と記者団に語った2日後、埋め立てを承認した。「カネと引き換えに基地を受け入れた」「公約違反」。県民の激しい批判にさらされた。
ここから、「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と言い続けた安倍政権は、沖縄の大型選挙で負け続ける。
辺野古移設の是非が争点化し…
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