松山尚幹
総裁選告示日の3日前、自民党の石破茂元幹事長は東京・銀座のギャラリーにいた。「夢に牡丹餅」と書かれた書を前に、「棚からぼた餅」と同じ意味だという説明を受け、「なかなか落ちてきませんよ。でも努力しないと落ちてこない」と苦笑いを浮かべた。
記者団からお気に入りの1枚を問われた石破氏が選んだ書には「愚」と書かれていた。「(今の気持ちは)これかもしれない。自分は本当に愚であり続けられるのか」。苦境の総裁選を戦う心情を吐露した。
世論の高い支持率を背景に地方票で圧倒し、選挙に不安を抱える国会議員へと支持を波及させる――4度目の挑戦となる今回、石破氏はそんな総裁選戦略を温めてきた。
加えて、国会議員からの支持の弱さを克服しようと、石破派パーティーの講師を依頼する形で二階俊博幹事長と関係を深め、地方重視の姿勢を高く評価することで菅義偉官房長官との連携にも期待した。最近では、苦手としてきた他派閥議員との会合も積極的に重ねてきた。
しかし、そんな計算は、二階氏の仕掛けを前に大きく狂った。
他候補をリードできるとそろばんをはじいていた本格的な党員・党友投票は、選出方法を一任された二階氏の判断で早々に見送られた。「簡易型」の総裁選への批判を強める石破氏をよそに、菅氏が二階氏からの支持を取り付けると、各派が雪崩を打って菅氏支持を表明した。
期待が裏切られたことをテレビ…
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