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アナザーノート 浜田陽太郎編集委員

 こんにちは。浜田陽太郎と申します。ここ20年ほど、社会保障を中心に取材してきました。「大事だけど、よくわからない」と思われがちなテーマかもしれませんが、くらしと政治の距離を縮めて「わかりやすさ」を追求したいと思います。

ニュースレター「アナザーノート」
アナザーノートは、紙面やデジタルでは公開していないオリジナル記事をメールで先行配信する新たなスタイルのニュースレターです。ライターは、政治や経済を専門とする編集委員たち。普段は表に出さない話やエピソードをお届けします。今回は9月6日第2号をWEB版でお届けします。

酷暑の東京の片隅で

 それにしても、8月は暑かったですよね。エアコンなしの生活はもう考えられなくなったと思いませんか? 

 こんな質問をするのは、最近の経験をご紹介したかったからです。

 猛暑日の8月中旬。私は都内のある男性のアパートを訪ねました。仮にAさんとしておきましょう。

 マスクをしてその部屋にいるだけで、汗がどんどん出てきました。エアコンが動いていないからです。

 70歳代のAさんは独り暮らしで、身寄りはなく、最近、生活保護を受け始めました。

私は、新聞社に勤めるかたわら、地元の社会福祉協議会(社協)に「生活支援員」として登録しています。独り暮らしのお年寄りの金銭管理などをお手伝いする国の制度があり、その最末端で月に1~2度、活動しています。

 新たに担当するAさんと会ったのは、この日が初めて。6畳一間と小さなキッチンという間取りの部屋は、窓から生ぬるい風が入ってはくるものの、やはり暑い。エアコンはあるのですが、表面が茶色に変色し、見るからに古く、Aさんは使っていないとのこと。

 テレビでは連日、熱中症で救急搬送されたり、亡くなったりするお年寄りのニュースが流れていました。

 さあ、どうしよう……。

新たにエアコンは買えるのか

 Aさんに、貯金はありません。もしエアコンが壊れていた場合、どうすればいいのか。厚生労働省や知り合いのケースワーカーに取材してみました。

 まず、現状では、様々な条件がつきますが何とかなりそうです。

 生活保護費は、少なくとも最低生活費として必要なものはすべて含まれており、エアコンの費用も月々の支給額に「薄く溶け込んでいる」というのが厚労省の説明です。なので、もし生活保護をすでに受けている人が、エアコンを買い替えるなら、保護費から少しずつ貯金して資金をつくらないといけません。

拡大する写真・図版エディオン名古屋本店では、エアコンの売り上げが好調だ=名古屋市中村区

 ただし、保護が始まったばかりで持ち合わせがない人に、日々の生活費などとは別に、電化製品を買うためのお金を原則1回だけ、2万9600円(「真にやむをえない事情」があれば4万7100円)を上限に支給することが認められています。普通は、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器の「3点セット」のどれかを購入し、リサイクルショップもよく利用するそうです。

 そこに加えて、「冷房器具」という項目が設けられたのは2018年でした。こちらの上限は5万1千円です。この金額は毎年改定され、今年10月からは5万3千円になるそうです。

 都心部の家電量販店で聞いてみたら、「冷房機能だけの機種」なら、工事費込みで5万3千円くらいからあるとのことでした。

 ちなみに、カネ(金銭)ではなく、役所の側が手配してモノ(現物)を渡すというのが原則です。

「クーラーは外して処分」の時代も

 実はかつて、生活保護を受けている人は、そもそもエアコンを持てませんでした。1994年には、埼玉県桶川市で「クーラー事件」と呼ばれる出来事がありました。

 生活保護を受け始めた79歳のお年寄りが「クーラー使用は認められない」という市の指示で、前から持っていた器具を取り外しました。しかし、その年の夏は猛暑。このお年寄りは脱水症状を起こして約40日間入院。市議会、そして国会でも取り上げられ、政治問題になりました。

 批判にさらされた市側の釈明は…

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