太田匡彦
余剰動物の受け皿となる一方で、動物の交換や売買を幅広く手がけているのが「動物商」と呼ばれる鳥獣売買業者だ。明治時代から存在し、かつては海外から次々と野生動物を調達してくることで、動物園を支えてきた。ワシントン条約によって取引のあり方に変更を迫られたが、いまも動物園にとって「なくてはならない存在」。どんなビジネスなのか。
「金があれば、いくらでも輸入できる。絶滅危惧種でも飼育下で増えている個体がいるからだ」
長く動物取引に携わってきた、レップジャパン(静岡市)の白輪剛史(しらわつよし)代表はそう断言する。この1年余りではミナミシロサイ、ジャガー、ピューマ、ナマケモノ、アリクイなどを輸入し、動物園に納めてきたという。
拡大するノルウェーから空輸され、成田空港に到着したチーター。動物商のバーデンが輸入代行し、千葉市動物公園に運ばれた=2020年6月9日、太田匡彦撮影
たとえば、絶滅のおそれのある種で、国際取引による影響を受けているなどとして、ワシントン条約「付属書1」に載るシロサイ。南アフリカに生息する個体群は例外的に「付属書2」に掲載されており、保護個体を100頭規模で飼育している施設もある。そこからなら、輸送費も含めて数千万円かかる費用をいとわなければ、輸入できる――という。
日本の動物園が入手や繁殖に苦…
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