菅義偉氏は安倍政権の継承を掲げるが、経済や外交で実をあげた側面はともかく、それが損なってきたものまでも引き継ぐのなら、政治は劣化の度を増す。菅氏の賢慮を待つ。
損なわれた最たるものは、法の秩序である。
歴代内閣が「できません」と言い続けてきた法解釈を、「できることにしました」と突然ひっくり返す。
集団的自衛権の行使容認も、検察官の定年延長も、憲法や法律の改正が必要なはずのところ、閣議で勝手に決めてしまう。
国民や、その代表である立法府は蚊帳の外である。主権在民、権力分立の原理が足蹴にされたに等しい。
政治が法をぞんざいに取り扱い、ねじ伏せる。異形の政権だったというほかない。
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民主主義が腐食した
その下で、議会政治が荒廃し、官僚機構が深く傷んだのは必然だったろう。
国会論戦からは逃げを決め込…