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 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は15日、米国が中国製品にかけた制裁関税は「WTO協定に反する」とする報告書を公開した。知的財産への脅威に対抗する正当な行為だったとする米国の主張に対し「説明責任を果たせていない」と断じた。

 問題になったのは、米国が2018~19年にかけて、中国製品約2300億ドル(約24兆円)分を対象に課した最大25%の関税。パネルは、WTO加盟国間の関税などで差別的に扱うことを禁じた「最恵国待遇」の原則に反するとした。米国側は上乗せした関税は公徳を守る目的だとして正当性を主張したが、米国側が十分な証拠を示せていないなどとして認めなかった。

 訴えは中国側が提起し、昨年1月にパネルが設置された。報告書は、裁判でいう「一審判決」にあたる。WTOの紛争処理は二審制で、米国は60日以内に最終審にあたる上級委員会に上訴できる。ただ、上級委は現在、裁判官に相当する委員の選任を米国が拒んだため委員が足りず、審理ができない状況だ。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は15日、声明で「WTOは中国の技術的な侵害行為を止めるには、まったく力不足だ」と不満を表した。(ロンドン=和気真也)