米アカデミー賞を主催する団体が、作品賞の選考基準にマイノリティーの登用を条件として設けると発表し、映画界の内外で賛否が渦巻いている。だが、近年隆盛の米国のドキュメンタリーの世界では、実は多様化はとっくに進み、かつヒットにもつながっている。全国で順次公開中の「行き止まりの世界に生まれて」はその代表格。監督デビュー作にしてアカデミー賞ノミネートを果たした中国移民1世ビン・リュー監督(31)にネット会議システムでインタビューし、考えた。
拡大する米カリフォルニア州からZoomでインタビューに応じるビン・リュー監督
主に海外の映画から、私たちを取り巻く問題を経済の側面から読み解く「シネマニア経済リポート」。ハリウッドの取材経験が豊富な藤えりか記者が様々な映画や業界事情を紹介する記事を、随時配信します。
「行き止まりの世界に生まれて」は米中西部イリノイ州ロックフォードが舞台。トランプ米大統領を生んだ原動力の一つ、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の一角だ。そこでの黒人青年や白人の若い男女の暮らしを数年間カメラに収め、暴力や貧困とともに生きる苦悩や希望を浮き彫りにした。
2018年のサンダンス映画祭で上映されるや絶賛され、ブレークスルー・フィルムメイキング賞を受賞。動画配信サービス「Hulu」が配信権を獲得し、米国の劇場でも公開された。オバマ前大統領が年間ベスト映画の一つに挙げ、アカデミー賞やエミー賞にもノミネート。低予算ながら異例のヒットとなった。
ラストベルトと言えば「貧困層…
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