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 7月の熊本豪雨で、熊本県人吉市の人吉城歴史館が球磨川の氾濫(はんらん)で浸水し、南九州の重要な植物文献とされる「南肥植物誌」をまとめた植物学者、前原勘次郎(1890~1975)が残した標本約3万3千点が水没した。泥をかぶったり、猛暑でかびが繁殖したりして危機的な状況に陥ったため、全国の博物館や大学など約40機関が協力して修復する標本レスキューが続いている。

拡大する写真・図版科博での修復作業は、標本の泥を落とすことから始まった。科博は今回、50箱を受け入れた=科博提供

 標本は、球磨川に面した人吉城跡に復元された櫓(やぐら)の中にあった。7月4日には、標本が保管されていた櫓内の収蔵庫の天井近くまで水が流れ込んだ。熊本県博物館ネットワークセンターの國本信夫学芸員は「櫓の土壁が崩れ、収蔵庫の床は泥だらけ。棚の上の方にあって状態がよかったものあるが、標本の多くが水没し、かびが発生していた」と振り返る。

 センターは、市と連絡が取れない6日の段階で県文化課と調整を開始。県から8日に照会を受けた熊本大の副島顕子教授(植物系統分類学)は「点数も多く貴重なもの。学術的価値の高い資料として救出されるべきだ」と答え、標本レスキューの経験がある知り合いに声をかけ始めた。

拡大する写真・図版棚が倒れ、収蔵されていた標本の一部は床に落ちた=熊本県博物館ネットワークセンター提供

■大震災時の連携が…

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