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 岩手県陸前高田市にある東日本大震災の震災遺構・旧気仙中で17日、思い出の品の返却活動を続ける団体の代表が壊れた校舎内を歩き、名前の書かれた教科書やメモ書きなどを見つけた。洗浄し、持ち主に返していきたいという。

 震災当時、鉄筋コンクリート3階建ての校舎は津波で3階まで浸水したが、体育館にいた生徒86人は高台へ逃げて全員無事だった。来年度から校舎内部を見学できるようにするため、改装工事が今月から始まった。思い出の品になるものがないか調べてもらおうと、市が「一般社団法人三陸アーカイブ減災センター」に依頼し、この日、代表の秋山真理さんが校舎に入った。

 教室の窓ガラスはなくなり、壊れた天井には椅子やシューズがぶら下がる。漁具が流れ込んでいる部屋や外壁が壊れ、外が丸見えの教室もあった。時計は地震が発生した「午後2時46分」で止まり、黒板には3月11日の予定に「卒業式練習」とあった。市によると、震災当時のままの状態で残されているという。

 初めて校舎に入った秋山さんは、がれきが残る教室内を歩き、名前の書かれた教科書や自己紹介らしい手書きのメモ、野球の捕手のプロテクターなど、持ち主にとって思い出深そうなものを捜し出した。保育園の「おたより」や結婚式の写真など、他から流れ込んだとみられる物も注意深く見ていった。

 持ち主に返したいもの20点以上を市の担当者に伝えた。改めて取りにきて、洗浄して保存する予定だ。「思い出の品保存リスト」を市内の美容院や診療所などに置き、住民に気づいてもらえるようにしていく。

 秋山さんは「9年半たっても名前があるものが残っていて良かった。教科書や自筆のメモがあるものは本人にとっては思い出深いもの。少しでも返却できるようにしたい」と話した。(大久保泰)