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 東京都内で学生寮8物件を運営する開成(武蔵野市)が破産したことがわかった。300人近い寮生の大半が、10月末までの退寮を迫られている。近年経営が悪化していたところに、新型コロナウイルスの影響による入寮者減が拍車をかけたとみられている。

 帝国データバンク東京西支店(立川市)の発表によると、開成は今月9日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。

 支店によると、開成は1970年創業、77年に法人化された。物件を借り上げての運営だったが、2000年代に2物件を自社で取得。借入金が増えて財務体質が悪化し、19年に1件を売却するなどしていた。

 運営する寮は三鷹市、杉並区に各2物件、武蔵野、調布、板橋、中野の4市区に各1物件(男子寮2、女子寮6)あった。大学生や専門学校生、高校生らを家具付き、朝夕2食付きで受け入れていた。

 支店の調査では、8物件で計450室ほどある。近年は利用が減少傾向で、コロナ禍の影響が出る前で8~9割の稼働率だった。大学でリモート授業が広がった今春以降、地方の学生が上京を控えるなどして空室が増えていたという。

 破産管財人の弁護士によると、在寮生は300人弱おり、所有者が運営を引き継ぐ可能性のある1物件を除き、10月末までの退寮を求めた。破産決定翌日の10日から運営元としての給食提供も停止している。1年分など先払いについて、返還は難しいとしている。

 三鷹市内の男子寮に住む大学3年生は「1年分を一括で払っているが、返ってこないだろうとあきらめている。引っ越し先は決めたけど、実習もあるし、バタバタだ」と話した。

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 杉並区内の学生寮で住み込みの館長を務める林昌吉さん(65)が朝日新聞の取材に応じた。

 7月初旬。運営元から経営が厳しく、「ボーナスを出せない」と告げられた。この寮は17年度までは40室が満室だったが、次第に減り、今春は24室に。ただコロナを理由にした入寮キャンセルは1人で、このほか1人がこの夏に退寮を知らせてきた。また、4、5人は、大学がリモート授業を続けているため、実家に帰省したり、入寮を先送りしたりしていたという。

 7、8月の給料も不払いとなり、「9月末で倒産する」と通告された。林さんは「寝耳に水で、あまりにひどい」。寮生の多くは、年間130万円近い寮費と管理費のほか入館料なども払っているが、おそらく返ってこないとみている。この寮は退寮期限が9月末となり、せめてもと、運営元からの給食停止後も、自腹で食事の提供を続けているという。

 熊本県人吉市の出身で、地元でレストランを営んでいた。2人の子どもが上京し、過疎化で経営も厳しく、見切りをつけた。寮に住み込みで5年半、夫婦で学生の世話をしてきた。「私らも職と住まいを失う。今後が不安です」。寮の管理の傍ら、ネットで求職活動を始めたという。(井上恵一朗)