【動画】日本に動物園が初めてできて、まもなく140年。その役割を巡り、大きな転換期を迎えています。動物園が抱える理想と現実に迫ります
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 動物園には「余りやすい動物」がいる。繁殖しやすく寿命は長め。飼育に必要なスペースが広く、プールなど特別な施設も不可欠――。代表的な存在がカバだ。動物園関係者はカバを、余剰動物になりやすい「難しい動物」だと言う。

 神戸市立王子動物園で2017年4月に生まれた出目丸(でめまる)(オス)もやはりそうだった。飼育場所の都合で、兄のカバの成長に合わせて両親が一緒に暮らすことになったために誕生したが、すぐ受け入れ先探しが始まった。「オスがいます。引き受けてもらえませんか?」。飼育展示係長の谷口祥介さんらは、いくつもの動物園に相談を重ねた。

 だが、「余裕がない」「オスはいらない」と断られ続けた。そのうちに出目丸は成長する。カバは2歳を超えると近親交配のリスクが出てくる。母と同居できる期限が近づいてきた。

 朗報がもたらされたのは出目丸1歳2カ月のころ。ほかの園が動物商の栄豊(千葉県八街市)と中国にカバを出す交渉をしているという情報を聞きつけた。栄豊に電話で頼み込むと数カ月後、「入れられるところが見つかった」と回答がきた。

 契約締結を経て、出目丸が中国へと旅立ったのは19年3月。1カ月後には2歳になるという、ギリギリのタイミングだった。出目丸はいま、南京金牛湖野生動物王国の広いスペースで、ゆったりと飼育・展示されているという。(太田匡彦)

特設ページ 動物たちはどこへ 変わりゆく動物園
日本に動物園ができてまもなく140年。これからも存在していくために、果たすべき役割は何か。情報公開請求して入手した84の公立動物園の資料と取材をもとに、動物園が抱える理想と現実、ひずみに迫ります。