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 来秋のドラフト候補が、大物の片鱗(へんりん)を見せつけた。

 秋季四国地区高校野球大会高知県予選が19日、県立春野球場であり、中学3年生の時に150キロをマークした右腕、森木大智(2年)を擁する高知が初戦となる2回戦の土佐戦に登場。1番一塁手で先発した森木は六回から2番手で登板し、2回1失点。最速は149キロ。8―1の七回コールド勝ちに貢献し、来春の選抜大会に向けて上々のスタートを切った。

 今大会は有観客で開催されている。五回終了後のグラウンド整備が終わると、背番号1が小走りでマウンドに向かった。投球練習の初球でいきなり146キロを計測、バックネット裏の観客席がざわつく。プロのスカウト陣も一斉にビデオを回し始めた。

 146キロ、148キロ、149キロ――。全25球のうち24球が直球だ。その直球を狙われ、2安打を浴びて1失点したが三振も二つ。「全国で勝つために、まっすぐとわかっていても打たれない直球を投げたいんです。だから捕手と話し合って直球でいこうと。追い込んでから、1球だけチェンジアップを投げちゃいましたけれど」。試合後、苦笑いを浮かべながら意図を説明した。

 2年前の夏。高知中3年時に150キロを投げて野球界を驚かせた。全国の強豪校から誘いがあるなか、「地元の野球を盛り上げるためにも高知の学校で甲子園で優勝したい」と進学先を決めた。だが、昨夏の高知大会は決勝で明徳義塾に敗れ、昨秋は県大会準々決勝で敗退。今夏の全国高校野球選手権は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。県の独自大会は3年生中心で臨んだため、ベンチ入りメンバーから外れた。

 新チームが発足し、残された甲子園でプレーする機会は来年の春夏の2回だけ。ここまで全国の舞台に立ててはいないが、中学時代から森木を指導してきた浜口佳久監督は右腕の成長を実感する。「走り込んで下半身が安定したことで、腕の力に頼らずに投げられるようになった。全力でなくても150キロ近く出るし、キレが増した」。本人は「日本一という目標に向けて、僕がもっともっと成長しないといけない」。ラストシーズン。投球でも言葉でも、エースの責任感をにじませた。(山口裕起)