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 将棋の第33期竜王戦(読売新聞社主催)の挑戦者決定三番勝負第3局が19日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、羽生善治九段(49)が丸山忠久九段(50)に勝って通算2勝1敗で竜王挑戦権を獲得した。10月9日に開幕する七番勝負で、タイトル通算100期獲得をかけて、豊島将之竜王(30)に挑む。

 タイトル100期がかかることについて、羽生九段は「そういう舞台で指すということは非常にありがたいことだと思っている。気力を充実させて開幕を迎えたい」と話した。

 羽生九段は1989年に19歳で初タイトルとなる竜王を獲得。以来、タイトルを積み重ね、2012年に故・大山康晴十五世名人の通算80期を抜いて歴代最多の81期を達成した。それからはタイトル獲得記録を塗り替え、17年には99期に到達した。しかし、100期獲得がかかった18年春の名人戦で挑戦に失敗。同年秋の竜王戦では挑戦者の広瀬章人八段(33)に敗れ、無冠になった。(村上耕司)

 将棋の竜王戦挑戦者決定三番勝負を制して挑戦権を獲得した羽生善治九段は、19日午後10時すぎから、東京都渋谷区の将棋会館で記者会見を開いた。会見での一問一答は次の通り。

――改めて対局を振り返ってください。

「序盤戦から力戦模様というか、手探りの感じの展開が続いていたので、お互いにかなり漠然としていて、はっきりしないような将棋でした」

――2年前の竜王戦で100期獲得がならなかった。また竜王戦で100期挑戦することについて。

「タイトル戦の舞台に参加できることがないとそういうチャンスはないので、今回挑戦者になれたというのは非常によかったなと思っています。ただ、まだ終わったばかりなので、気持ちの準備はできていないが、開幕までにしっかりと調整して、いいコンディションでスタートを迎えられたらいいなと思っています」

――現在の体調は。

「体調そのものはまったく普通で変わりなく元気に過ごしています」

――相手の豊島竜王の印象は。

「豊島さんは非常に最新の形にも精通していますし、攻めても受けてもあまりミスがないというか、そういう力強さは棋譜で見ているだけでも感じています。七番勝負の舞台で顔を合わせられるのを楽しみにしています」

――前回、竜王を失ってタイトル戦から遠ざかっていた。今回挑戦者になれた要因についてどう考えているか。

「あまり他の棋戦で勝ち進んでいないので、今回挑戦できたのは非常に幸運だったなというのは一つ思っています。そういうチャンスを生かせてよかったなと思います」

――豊島さんとの七番勝負のポイントは。

「2日制でもありますし、序盤でリードされてしまうと苦しいと思うので、しっかり作戦面でも準備しておくのが大事なのかなと思っています」

――27日に50歳になる。50歳として臨むタイトル戦をどう考えるか。

「誕生日までもうちょっとありますが、50代になってもタイトル戦に出られたというのは棋士として非常に名誉なことだと思っています。ただそれに満足することなく、励みにして前に進んで行けたらいいなと思っています」

――現在のタイトルホルダーの最年長が一回り年下の渡辺(明名人)さん。世代ギャップについてはどう考えるか。

「30代、20代でも強い人たくさんいますし、同年代でも久保(利明九段)さんが今、王座に挑戦中でもあるので、同年代の人も変わらずに活躍しているというのもあるので、あまり世代にこだわらずに目の前の一局を一生懸命にやっていくというところでしょうか」

――藤井二冠の活躍が刺激になったことは。

「刺激というか、もう二冠ですから、大きな実績を残されているわけですし、日々の対局や棋譜を見て参考にしたり、勉強したりしているところです」

――2年ぶりのタイトル戦。それまではタイトル戦が日常だった。タイトル戦に出ない期間、どういうふうに過ごしたか。

「移動が少なくなって体調面ではちょっと楽になった面はある。本当の真剣勝負というか、大舞台、2日制がなかったので、そのあたりがどうなるのか、やってみないと分からないところかなと思っています。生活はここ1、2年は変わったかなと思います」

――将棋への向き合い方の変化は。

「課題というか、考えなくてはいけないことがたくさんありすぎて、あまりうまく最近の将棋を理解しているかどうかは分からないですけど、ただ自分なりにちょっとずつ、そういうところも後れをとらないようにとは考えています」

――100期という節目をどうとらえているか。

「もちろんタイトル戦に出ないことにはどうにもならないことでもありますし、最近はその機会すらずっとなかったので、あまり考えることもなかったというのが実感です。ただ非常に大きな記録がかかるシリーズでもあるので、その舞台にふさわしい将棋は指したいなと思っています」

――50歳での挑戦。応援するファンの視線が送られる番勝負になる。そのあたりの思いは。

「将棋は幅広い年代というか、世代でできる競技ではあるので、50代なら50代なりの将棋を指せていけたらいいなと思っています。それがどういうものになるのか、これからの課題になるとは思いますが」

――2年前に失冠されて九段になってどういった2年間でしたか。

「なかなかタイトル戦そのものに近づくのが難しかったですし、今は強い人がたくさんいるので、一局一局を一生懸命やってきたというところですかね。ただタイトル戦にすごく出ていた時期は、1年も経ってしまったら忘れてしまって、目の前の課題に集中していくというところでした」

――22日からは王将戦が始まります。

「王将リーグも来週開幕で、11月の終わりくらいにリーグ最終戦。結構、間隔がつまってくるので、そちらの方も気力を充実させてやっていかなくてはいけないと思っています」

――最後に意気込みを。

「私にとっても久しぶりのタイトル戦ということなので、張り切って臨みたいと思っています。将棋ファンの皆さんに楽しんでもらえるような将棋が指せるように、力いっぱいやりますので、どうぞよろしくおねがいします」(村上耕司)