[PR]

 レジ袋は、国内で出るプラスチックごみの数%です。有料化だけで、ごみ問題が解決するわけではありません。レジ袋以外のプラスチック製品も、ごみの減量や再使用、再生利用につながる設計にしたり、効率的な回収・処理方法を確立したりすることが必要です。プラスチックごみ削減に向けて、さらなる一手を考えます。

 プラスチックごみの削減に向け、レジ袋にとどまらない取り組みを企業が始めています。プラスチック製の容器を使わないように促したり、使用済みのプラスチックを再利用したり。

 健康志向をウリにするコンビニ、ナチュラルローソンは8~9月、洗剤の量り売りを東京都内の3店で実験的に始めました。プラスチック製の容器を繰り返し使ってもらう狙いです。

 扱っているのは、食器用、洗濯用、おしゃれ着用の3種類の洗剤と柔軟剤です。いずれも、自然由来の成分にこだわるメーカー「エコストア」の商品で、20グラムから1グラム刻みで買えます。100グラムあたりの価格は税抜きで70~110円。ボトル入りよりも2~3割安くなります。買っていくのは20~50代の女性が多いそうです。

 その一つ、港区の芝浦海岸通店を訪ねると、量りと専用のタンクが置いてありました。客は、持参したマイボトルか店内にある無料ボトルを使います。空の状態の重さを量ったあと、必要な量の洗剤をタンクからセルフサービスで注ぎます。再び量った後に出てくるバーコード付きのシールをボトルに貼って、レジへ持って行きます。タッチパネルに沿って進められ、スムーズでした。

 「反応は好意的なものばかり。環境問題に関心のある方が来店するきっかけになっています」と、ローソン商品本部の鷲頭裕子さん。「利益面なども検証したうえで対象店を増やしたい」と話します。シャンプーやワインの量り売りも検討していくそうです。

 飲料大手のサントリーホールディングス(HD)は6月、廃プラスチックの再利用をめざす会社を、繊維大手の東洋紡や、段ボール大手のレンゴーなどと共同出資で設けました。新しい再生技術の開発に取り組む米国企業に出資し、2027年までの国内での実用化をめざしています。サントリーHDの新浪剛史社長は「日本では、リサイクルのためにほとんどのプラスチックが分別されているが、一部は焼却されて熱エネルギーとして利用されている。そこも再生できれば、プラスチック利用が減り、二酸化炭素の削減にもつながる」と話します。

 プラごみ削減の動きは、カプセル玩具にも及んでいます。回転ずしチェーンのくら寿司は、店内に置く景品ゲーム「ビッくらポン!」の玩具用に紙製の容器を開発しました。東京や大阪の店に導入しています。

 日本マクドナルドは、子ども向けの「ハッピーセット」に付けるプラスチック製おもちゃのリサイクルを始めています。使われなくなったものを店頭で回収し、商品を載せるトレーに再生しています。断続的に進め、19年度には340万個のおもちゃを回収したそうです。(若井琢水)

     ◇

 有料化で、レジ袋の生産現場にはどんな影響があるのでしょうか。日本で使われるレジ袋は7割ほどが輸入で、3割が国内生産です。国産の6割のシェアを占める福助工業(愛媛県四国中央市)に尋ねました。

 同社では6月ごろから急激にレジ袋の生産量が落ち、工場の稼働率はピーク時の2013年の50%ほどになっています。レジ袋以外にたくさんの商品をつくっているため、業績への影響は大きくありませんが、一部の従業員はその他の生活必需品や、新型コロナウイルスの感染防止関連商品のパッケージの生産などに配置転換をしているそうです。

 環境への影響を抑えた商品をつくろうと、同社は18年6月から新たに「海洋生分解性」の袋の開発に力を入れています。誤って海の中に捨てられても、水と二酸化炭素に分解されるといいます。海外の認証機関で審査中ですが、コロナ禍で審査が遅れており、結果が出るのは早くとも来年3月になるそうです。

 同社の担当者は「レジ袋は様々な分野で需要がある。災害時には避難所で救援物資の小分けや衣類・靴の一時保管にも使える。より環境に配慮した製品を開発してニーズにお応えしていきたい」と話しています。(根岸拓朗)

     ◇

 レジ袋の有料化を受けて、注目が高まっているのが風呂敷です。インターネット上には、エコバッグ代わりに風呂敷を使ってみたという人たちの声もたくさん見られます。

 風呂敷メーカーの山田繊維(京都市)が営む風呂敷専門店「むす美(び)」では、オンラインショップの売り上げが6月は前年の3倍、7月は同じく5倍になったそうです。広報担当の山田悦子さんは「メーカーが仕掛けたというよりも、実際に使った人の声がSNSで拡散されていった。これまで風呂敷に触れていなかった方々にも、関心が広がっているのを感じます」と言います。

 山田さんによると、風呂敷の利点は、包む物の量や形に合わせて、包み方を自由に変えられること。肌寒いときにはひざ掛けやショールとしても使え、たためばコンパクトに持ち運べます。綿やポリエステルなら丸洗いができて手入れも楽です。

 エコバッグ代わりになる、簡単な結び方の例を教えてもらいました。まず表の面を内側にして三角にたたみ、左右の角をそれぞれ一つ結びにします。表の面が外側になるようにひっくり返し、結んでいない角同士を真結びしてできあがり。

 他にも、隣り合う角を真結びして持ち上げるだけでも袋に。「やってみると、手軽さを感じてもらえると思います。身近に1枚置いておくといろんな場面で活躍しますよ」(松本紗知)

     ◇

 エコバッグを快適に使うコツを「シンプルライフの節約リスト」などの著書がある家事アドバイザーの矢野きくのさんに聞きました。

 ポイントは「買い物の量や場面によって使い分けること」。仕事帰りなどのちょっとした買い物には、薄くたためるエコバッグが便利。矢野さんは、たたんだエコバッグとレジ袋数枚をポーチに入れていつも持ち歩いているそうです。スーパーなどでのまとめ買いには、しっかりした底があると物が詰めやすく持ち運びもしやすいです。「持ち手が太いと、手も痛くなりません」

 袋詰めするときは、汁が漏れそうなものはポリ袋に包みます。牛乳パックなど箱形の物は底に入れて「床」に、面の大きい袋状の物は袋に沿うように入れて「壁」に。「この『床と壁』を意識して詰めると袋の中が安定します」

 食品を入れるからこそ清潔に。矢野さんは買い物の後、袋の内外を除菌スプレーなどを使って拭くそうです。店員が袋詰めをするサービスをコロナ禍でやめた店も多く、客から汚れたバッグを渡されて困るという店側の声も耳にします。「この時期なので、触れる物のやりとりは最小限にした方がいい。自分で詰めるものと思っておいた方がよいのでは。詰めてもらう場合も、相手への配慮を心がけたいものです」

 エコバッグを使うのが面倒、という人もいるでしょう。今は様々な種類があり、フリマアプリで手作りバッグを売っている人もいます。「せっかくなので、エコバッグを楽しむ気持ちになれば、と思います」(松本紗知)

     ◇

 デジタルアンケートに寄せられた声の一部を紹介します。

●適正なレジ袋供給に有効

 コンビニ経営しております。無料だからという理由により、ひたすら小分けして袋に入れることが当然のこととなり、例えば温かい缶コーヒー、冷たいお茶ペットボトル、パン、温めた弁当で計4枚など、上記の温かい缶コーヒーと弁当は一緒に、冷たいお茶とパンは一緒に出来ないのかと常に疑問に思いながら袋詰めしておりました。皆様は無料だと言いますが、仕入れをしているので全て店の負担でした。当店で考えても、少なく見積もって年間30万~40万円は仕入れにかかっておりました。資源は有限です。適正な供給量、適正な消費量に近づけるのに有効であり、健全なのではないかと思います。(高知県・30代男性)

●海岸に多いごみは漁具

 (海岸の漂着物を収集・観察する)ビーチコーミングが趣味の者です。ストローにせよ、レジ袋にせよ、海洋ごみの中に占める割合は微々たるものです。海岸を実際に歩いて感じるのは、漁具関連のごみの多さです。ナイロンの網、浮き、ブイの類いなど。また、発泡スチロールごみも多く、これは容易に小さく粉砕されてしまうため環境への負荷は大きくなります。もちろん忘れてはいけないのはペットボトルです。レジ袋ではなく、ペットボトルを規制するという話であったなら、本気さを感じてもろ手を挙げて賛成したでしょう。結論として、レジ袋有料化はパフォーマンスの域を出ないと思います。(徳島県・30代男性)

●なぜ長い間変わらなかったのか

 フランスに留学経験があります。日本のレジ袋はなんでこんなにも長い間何も変わらなかったのかと憤りすら感じます。野菜も量り売りで紙袋に入れる形で販売するのが当たり前になってほしいです。いろいろな場所にプラスチック製品があふれていてそれがポイ捨てされているのを見るたびにゲンナリします。(東京都・20代女性)

●工場では梱包(こんぽう)材大量使い捨て

 自動車工場で働いた折、資材の梱包に大量のビニールフィルムを使い捨てた。環境先進企業という印象の自動車メーカーだったが、現場を見てとてもそうは思えなかった。企業に対する具体的な使い捨てプラスチックの削減目標を策定するべきだと考える。(神奈川県・20代男性)

●ごみ問題を考える機会になった

 たとえレジ袋有料化がごみの量を減らすことにはつながらなくても、ごみのことを考えるきっかけになっていれば意義はあると思います。私自身は、今まで見えていなかった海のごみの多さに気付くようになりました。また、全国で一斉に始めたことで多くの人と共有できる「問題」として考えるきっかけになったのではないかと思います。特に日本は環境に対しての活動が世界と比べて遅れているので、今回の変更はとても前向きで良いと思いました。(愛媛県・20代その他)

●社会のあり方、根本から見直しを

 以前環境負荷削減のために提唱された「割り箸不要、マイ箸携帯」運動同様、意識変化を促す象徴的な取り組みだと考えます。見回せば現代生活はプラスチックにあふれていて個人レベルで減らせる量ではありません。大量生産・消費による社会のあり方を根本から見直して修正していく必要があると思います。プラスチック問題は地球温暖化にも直結しているのですから。(東京都・60代女性)

●ゼロにできる素材開発を

 私はレジ袋はごみ袋に使うので、結局購入をしています。数年後などではなく、もっと未来の環境を守るという観点でいうと、プラスチックごみを「一部」減らすのではなく、プラスチックに代わる資源で0まで「無くす」ことが必要だと思います。既にそのような研究はされているとは思いますが、人類共通の課題に直面している今、各国の持つ情報を交換して、最短距離で開発を進めるべきだと思います。(大阪府・30代女性)

●環境に流出しない工夫が必要

 有料化すればプラ削減に寄与できるのではないかと思っていましたが、折あしく新型コロナウイルスの流行で『衛生』という観点での必要性が浮き彫りになりました。

自分は上記の理由でレジ袋の使い回しをやめ、会計後に肩にかけたままのバッグに商品を入れる方法をとっていますが、これは時間がかかるので人口の多い地域ではやりにくいことかもしれません。海岸清掃に携わる者としては、プラ製品の「処理のしかた」が鍵になると思っております。環境に流出しない集積方法、漂着プラでも焼却やリサイクルができる技術の確立、製造時点で他の素材と混ぜない工夫など、末端ではなくスタート地点での対策がもっとも効果的だと考えております。(沖縄県・50代その他)

●海洋汚染の調査続けて

 個人的には無料でサービスを得られる時代ではないと思うし、海洋汚染も憂慮すべきことなので有料化は受け入れています。

 ただし海洋汚染はレジ袋その物よりごみの捨て方の問題だと思うので、不当な投棄への対策や啓発より有料化がメインの施策のようになってしまったのは手段が目的化していないかとも思う。

 また海洋汚染としては流出したり不法に廃棄されたりした漁具の問題や現に海に流れたごみの回収の問題も対策を考えなければ効果は薄いと思う。レジ袋有料化で本当に海洋汚染が軽減するのかは継続的に調査してもらいたい。(宮城県・30代男性)

●日常生活ではプラ製品使う

 プラごみ削減はするべきだけど、食中毒のリスクや利便性を考えるとレジ袋じゃないと思う。企業努力や過剰包装の見直しの方が先では。特にコロナ禍の今、個人のプラごみ削減への意識は多少変わったかもしれないけど結局生活面でプラスチック製品使用量はポリ袋を含めて変わってない。(静岡県・20代女性)

●企業の研究や取り組みにも期待

 ヨーロッパに行くと、もはやエコバッグは当たり前。日本の対策の遅れを感じていた。日本でも地域によって取り組みの差があり、北陸ではかなり前からスーパーでレジ袋をもらえないようになり、レジの形まで変えて顧客に対する利便性を追求していた。大阪などの都市部はスペースの問題か意識の問題か、なかなかそうはならず、早く見直しをして欲しい。買い物のレジスペースを改善すれば、コンビニの混雑も解決できると思う。包装などエコ素材を使わない現状に、どうして日本は、これほどまでにもうけ至上主義なのかと思っていたが、世論が高まり自然由来の新しい包装の開発など、企業の取り組みや研究もスピードアップすることを期待している。(大阪府・50代女性)

●別のことにも着手すべきでは

 結局、ごみ袋を買うので、今までと使用頻度は変わらない。プラスチックに依存した生活様式を見直すのであれば、もっと別のことにも着手するべきではないのか。論点がずれている。(兵庫県・60代男性)

 コンビニなどの店頭では4人に3人がレジ袋を辞退するようになったそうですが、デジタルアンケートの結果は有料化に厳しい内容でした。

 寄せられた声のうち、反対意見には大きく二つあると思いました。一つは新型コロナウイルス禍で経済も衛生も不安な時期に、なぜ消費者だけに負担を強いるのか。もう一つはプラスチックごみ削減が目的なら、ほかにやるべきことがあるはずだというものです。もっともです。

 レジ袋の有料義務化とは、まずプラスチックの問題に気がつき、どうしたら資源を有効活用できるか、すべての立場の人が行動を見直す、はじめの一歩なのだと思います。

 政府ではプラスチックの資源循環に向けた次の施策の検討が進んでいます。例えば、容器包装だけでなく、おもちゃや文具といったプラスチック製品全体を自治体が一括回収する▽企業はリサイクルしやすい製品を設計し、使用後は自主回収する、といった仕組みを広げることです。再生材の活用や代替素材の開発も議論されています。これらは事業者、行政、消費者が一体となって取り組む必要があります。

 施策が納得のいくものになるか、審議会や国会の議論をしっかり見て伝えていきたいと思います。(水戸部六美)

     ◇

ご感想やご提案をasahi_forum@asahi.comメールするへお寄せください。