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 奈良の世界遺産・興福寺にある八角形の円堂二つを振動測定した結果、ある構造の違いから、地震のときの揺れ方が異なることがわかった。五重塔や一般的なお堂では揺れ方の研究が進むが、伝統的な木造の八角円堂で構造上の揺れ方が科学的に明らかになったのは初めて。各地に残る円堂建築の安全性を知る上で重要な成果という。

 二つの八角円堂は、北円堂(ほくえんどう)(国宝)と南円堂(なんえんどう)(国重要文化財)。興福寺によると、北円堂は奈良時代、藤原不比等(ふひと)の供養のために建てられたが戦乱や火災で焼け、鎌倉時代の13世紀に再建された。高さ約15メートル。

 南円堂は平安時代初期に藤原冬嗣(ふゆつぐ)によって建てられたが焼失を繰り返し、江戸時代の18世紀に再建された。北円堂よりひとまわり大きく、高さは約22メートル。西国三十三カ所霊場の一つで、正面には向拝(こうはい)が取りつけられている。円堂から唐破風(からはふ)の瓦屋根が張りだしている部分だ。

 調査のきっかけは、2年前の大阪北部地震だ。奈良市は震度4を観測した。北円堂はほとんど変化がみられなかったが、南円堂は天井からほこりが落ち、机の上の仏具が転がるなど北円堂より揺れが大きかったという。この違いに疑問を感じた興福寺が、東京大大学院の藤田香織教授(建築学)に調査を依頼した。

 藤田教授は昨年8月、二つの円堂で1日ずつ微動測定をした。かすかな風や地面の細かな動きにも反応する建物のごくわずかな揺れを測る方法だ。建物を傷つける恐れがなく、100年ほど前から五重塔などの調査で用いられてきた。

 具体的には、茶筒ほどの大きさの六つの速度計をそれぞれの円堂の地面や梁(はり)の上に置き、約1~5分間の揺れの加速度を速度計の位置を変えながら数十回にわたって測った。

 その結果、南円堂は北円堂より不規則な動きをしていたことがわかった。原因は、南円堂の向拝だ。

 北円堂は円を描くような揺れで、五重塔など対称形の建物にみられる想定通りの揺れ方だった。一方、南円堂の円堂部分は円運動に近い形で揺れていたが、向拝は縦や横に動いていた。そのため、南円堂全体としては不規則な揺れ方になったと考えられる。

 大阪北部地震で南円堂の揺れが…

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