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 兵庫県三木市の空き家で6月、多数の犬を劣悪な環境で飼ったとして男が動物愛護法違反容疑で逮捕される事件があり、県警が捜査に入る2日前、動物愛護団体が数十頭の犬を無断で連れ出していたことがわかった。団体は「緊急的な救出だった」とするが、専門家は窃盗罪に問われかねないと指摘している。

 ひざ下まで積み重なった犬の排泄(はいせつ)物や餌、体毛……。強烈な異臭でゴーグルを掛けても目は痛み、マスク越しでも呼吸が苦しい。

 6月24日、兵庫県三木市の住宅街にある空き家。踏み込んだ兵庫県警の捜査員たちは目を疑ったという。

 県警はこの日、劣悪な環境で犬66頭を飼ったとする動物愛護法違反容疑で会社員の男(56)を逮捕した。住人ではないが、空き家を管理しており、2~3日に一度は餌を与えていたという。男は罰金20万円の有罪判決を受けた。66頭は健康状態に問題はなく、地元の兵庫県動物愛護センター三木支所が保護した。

 県警が踏み込む2日前の6月22日未明。複数の動物愛護団体のメンバー約20人が、この空き家から数十頭の犬を連れ出していた。呼びかけた県内の愛護団体の女性代表(47)が朝日新聞の取材に、無断で連れ出したことを認めた。

 代表らによると、空き家から飛び出した犬に近隣住民がかまれるなどの被害を耳にしていた。前日の21日、近くに住むメンバーからの連絡で屋内を確認し、増えすぎて適正な飼育ができていない「多頭飼育崩壊」が起きていると判断したという。

 21日は日曜日で、同支所には連絡がつかず、警察署には令状がないと立ち入れないと言われたという。代表は違法行為の恐れがあると認識していたことを明かしたうえで、「1日待てば良かったかもしれないが、暑さもあって放置できなかった。間違った選択だと思っていない」と話した。

 近くの住民によると、この家で犬が飼われだしたのは10年ほど前。同支所によると、今春、「空き家から犬が逃げ出している」との連絡があった。職員は飼育環境を確認しようと、空き家の管理者とみられる男に屋内の確認を求めたが、拒まれたという。男は「10~20頭しかいない」と説明。支所は多頭飼育崩壊を把握できなかったという。

 犬は事件当時、全部で140頭近くおり、愛護団体側も全ては連れ出せなかった。団体は、同支所が保護した66頭も含め全頭を引き取り、他の愛護団体とともに里親探しを進めている。

 同支所などによると、こうした捜査の後には本来、犬は所有権のある飼い主に返される。今回は男の意向もあり、団体側に譲渡されたという。

 動物虐待問題に詳しい林太郎弁護士(東京弁護士会)は、許可なく犬を連れ出した愛護団体の行為は、窃盗などの罪に問われる可能性が高いとみる。

 刑法には、危機から生命を守るための行為は罰しないとする「緊急避難」という定めがあるが、想定しているのは人間の生命だ。「日本の法体系では動物はモノ扱い」と林弁護士。動物の生命が危機にさらされていたとしても、警察や行政機関に協力を仰いだり、飼い主を説得したりするなどの別の方法で救出するべきだったとする。

 捜査関係者によると、兵庫県警…

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