拡大する写真・図版東京五輪マラソンのスタートとゴールになる大通公園を視察する増田明美さん=2020年8月30日、札幌市、日吉健吾撮影

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 来年8月に札幌市で開催される予定の東京五輪マラソンのコース。昨年12月25日と今年8月5日の2回、この42・195キロを試走した記者が、スポーツジャーナリストの増田明美さんにコースの印象や勝負のポイントなどを聞いた。

 市街地を南北に走り抜けるコースは「変則的な3周周回のコース」といわれる。地図で見ると確かに複雑でわかりにくく感じるが、実際に走ってみると、ずいぶん印象が異なった。

 構成はこうだ。①大通公園の周りを2周。1周約1キロの計約2キロ②「北海道マラソン」のコースを使い、市街地南部を1周。約10キロ③発着点近くの「さっぽろテレビ塔」下付近から市街地北部を3周。1周約10キロの計約30キロ。①が助走のような位置づけ②が序盤③が勝負どころ――という明快なコース。起伏が少なく、とても走りやすい。

 「全体的に平坦(へいたん)だなと感じましたね」。増田さんは語る。今年1月と8月29~30日、コースを視察し、一部を試走していた。

 「スタートの大通公園は、花壇に見守られる。色とりどりの花がいい。選手のみなさん、緊張しているじゃないですか、スタート前。花壇に癒やされる。全体が緑でしょ、きれいで選手を包み込んでくれて。呼吸が楽な感じがしました」

増田明美さんのプロフィル
ますだ・あけみ 1964年生まれ。「女瀬古」との呼び名がついた高校時代に長距離種目で次々に日本記録を塗り替え、高校3年の82年には地元・千葉での初マラソンで2時間36分34秒の日本記録を出した。84年ロサンゼルス五輪で初の正式種目となった女子マラソンに出場。92年の引退までに計12回、日本記録を更新した。マラソンや駅伝の「詳しすぎる解説」で知られる。

 選手たちは大通公園を後にすると、市街地南部へ向かう。「五輪に出るような選手は景色をじろじろ見るような余裕はない。でも目に入ってくる景色が開放的。空が広い。空の大きさも感じられて、開放的なのがいい」

 空が広く感じられるのは周りの建物が低いからだ。8月上旬の札幌は晴天だと、午前8時ごろから建物の影がコース上から消えていく。マラソンのスタートは午前7時。しかし1時間後には、強い日差しを避けるのが困難なコースに差し掛かってきそうだ。

 1キロ3分前後~3分30秒前後で走るトップランナーたちはスタートから40分前後で「さっぽろテレビ塔」下付近まで戻り、1周約10キロの周回に入る。特に創成川通は単調な直線で、遮るものが少ない。

 それでも増田さんはこう指摘する。「札幌と東京では気温や湿度が全然違う。(マラソンが東京から札幌に移って)結果的によかったなと思います」

 コース中で「オアシス」になりそうなのが、樹木のトンネルを走り抜ける北海道大学の構内だ。

 「北大の中のポプラ並木、木々の空気というのは、ああ、北海道だなあって感じる」「あとクラーク博士の胸像。北海道と言えば、開拓。自分たちの手で切り開いてきたというシンボル的なところなので。選手の皆さんも自分で自分を開拓している。そういうことを改めて思うんじゃないかな」

 北大を出ると次は道庁赤れんが庁舎(旧本庁舎)前だ。「ここも開拓のシンボル的な場所」と増田さん。「選手たちはけがとかスランプ、コロナ禍でたいへんな思いをしている。しかし、それに負けず、自分を開拓して前に進んでいる。だから(この札幌のコースは選手たちにとって)本当にぴったりのコースだなと思いました」

勝負の駆け引きは

 五輪マラソンのコースはほぼ平坦なうえ、序盤には勝手に足が前に出てスピードが上がりそうになる緩やかな下り坂もある。天候次第では五輪記録更新を予感させるコース、というのが記者が走って感じたことだ。

記者のプロフィル
神村正史(かみむら・まさふみ) 1967年生まれ。網走支局長。2013年秋に狭心症の発作で倒れ、その原因となった冠動脈硬化症の治療目的でジョギングを始めた。17~19年、サロマ湖100キロウルトラマラソンを3年連続完走。フルマラソンの自己ベストは3時間47分34秒(グロス=スタートラインに到達するまでの時間を含めた記録)。

 「コースからすれば、そうよね…

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