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 幼い息子の肌荒れに心を痛めた専業主婦が約20年前、紫外線対策グッズの専門ブランドを立ち上げた。友人と知恵を絞り、母親の視点で作った衣類などは全国の保育園や幼稚園で徐々に人気を集め、紫外線が強いオーストラリアや米国でも評価され始めている。

 「着る予防医学」をうたい服や帽子などを作るブランド「エポカル」。英語で「画期的な」という意味だ。埼玉県和光市の松成紀公子さん(50)が2002年に創業した。

 きっかけは皮膚科での出来事。1歳だった長男(19)は日焼け後に肌が赤くはれ上がり、アトピーと診断された。ショックは大きく、「紫外線対策もしてあげて」という医師の言葉に「できる限りのことをしよう」と決意した。荒れた肌に日焼け止めを塗るのは気が引けて、ベビーカーにバスタオルをかけ、日ざしを避けて散歩した。

 紫外線対策に対する意識が今ほど高くなかった当時は「UVカット」の製品は種類が限られていて、動き回るようになった長男に着せたい服は見当たらなかった。そんな中、手芸店で偶然見つけたのが紫外線を遮断するという生地。服を手作りしようと購入を申し入れると、「会社にしか売らない」と断られた。

全国100の園で採用

 すぐに会社設立を思い立ち、母親学級で知り合って以来、子連れでたびたび会っていた友人の佐藤一枝さん(50)に事情を話すと、「やってみましょうよ」。健康問題に関心のあった佐藤さんは、子供向けの紫外線対策の重要性に共感したのだという。松成さんの自宅の一室を拠点に、子供服の製造を始めることになった。

 とはいえ、運転資金は松成さんが結婚前に勤めていた銀行の退職金の一部の20万円だけ。ホームページを自作し、縫製の技術がある母親にも手伝いを頼んだ。90センチサイズのパーカを皮切りに主に長男用の服を作り、残りを知り合いに個人レベルで販売した。当初から周囲の反応はよく、「情報はないながらも潜在的なニーズを感じた」(松成さん)という。

 やがて、皮膚の病気がある子どもの保護者らから連絡が来るようになった。小学校の水泳の授業を一度でいいから体験させたいという要望から、ウェットスーツ型の水着が生まれた。テニス部の活動でかぶるシンプルなキャップがほしいという高校生の声からは、メッシュで涼しく後頭部のポケットから首の後ろの日差しよけになる垂れ布が出し入れできるキャップを作った。こうした要望にも応えるうち、商品は約500種類に増えた。

 インターネット販売がメインだが、紫外線対策の重要性が知られるようになり、東急百貨店など有名店で販売する機会もたびたび得た。「外遊び後の子供の疲れ方が違う」と口コミが広がり、全国の約100の保育園や幼稚園で制帽や制服として採用されている。

 佐藤さんは「母親ならではの『気づき』が商品に反映されていることをお客様が評価してくれた結果では」と分析する。いま、会社のスタッフは6人。全員子供がいる女性だ。高機能でも着づらければ子供は見向きもしないことを知っているから、試作を繰り返し、子供に着せて様子を見る。主力商品のテンガロンハットは5ミリ単位でつばの長さや角度を変えて発売したが、さらに改良を重ねて現在は7代目のデザインだ。

オーストラリアでも好評

 ここ数年、松成さんの目は海外を向いている。

 まず目指したのはオーストラリア。皮膚がんや白内障などの予防に国を挙げて取り組む「紫外線対策先進国」だ。

 エポカルが採用している生地には紫外線を反射させる酸化チタンが練り込まれており、洗濯しても機能が落ちないという。皮膚の病気がある人にその機能性をアピールする方法を探る中で、18年に同国の政府機関で検査を受け、一定以上の紫外線カット機能をもつ製品であることを証明するタグをつけることを認められた。

 製品に対する反応を見るために現地で開いた展示会では、こだわったデザインが「細かくておもしろい」と好評で、シドニー郊外の子供用品店で昨年11月から販売を開始。晴天続きで知られる米ロサンゼルスでも販路を探っている。

 松成さんは「息子に着せる服を探していたあのときの私のような人がいるのではと思うと止まれません。この仕事に使命を感じています」と話す。

 エポカルの商品は主にオンラインショップ(https://www.epochal.jp/html/company.html別ウインドウで開きます)で購入できる。(小林祝子)