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 新型コロナウイルスの影響で、客船(クルーズ船)の名古屋港への寄港が今年、ゼロに終わる可能性が高まってきた。全国的な傾向だが、同港の場合、平成以降で初めての事態となる。同港管理組合は運航再開を見越して、岸壁の老朽化対策工事など受け入れ態勢の充実を進めている。

 同組合によると、今年は、日本船と外国船の寄港が昨年の39回より多い40回程度が予定されていた。ところが新型コロナのため、いまだ1隻も入っていない。12月中旬に3回、予約が入っているが実現するかどうかわからないという。

 客船は「港の華」とも呼ばれ、寄港1回あたりの経済効果が高いことから、アジアからの観光客が増える中、各地の港は誘致合戦を繰り広げていた。

 同港は取り扱い貨物量が全国トップの工業港として有名だが、客船の寄港は少ない。外国船を中心に客船の大型化が進む中、市街地に近いガーデンふ頭へは名港中央大橋(名港トリトン)をくぐれず、金城ふ頭の貨物用岸壁に接岸せざるを得ないなどハード面での立ち遅れが指摘されていた。

 国土交通省によると、寄港回数(外国船と日本船の計)は、名古屋港は2013年が8位(35回)、14年が10位(30回)、15年が9位(34回)だったが、以後はトップ10圏外。

 それでも昨年は、全長290メートルの「ダイヤモンド・プリンセス」が金城ふ頭へ、世界一周をしていた「サン・プリンセス」がガーデンふ頭へ立ち寄るなど実績を積んでいた。

 昨年、ガーデンふ頭で2隻の客船が同時に着岸できるよう2億6千万円をかけて長さ80メートルの係船杭を造った。今年8月には利用客が雨にぬれないよう長さ150メートル、幅3・5メートルの屋根付きの歩道を完成させた。事業費は1億5千万円。老朽化対策のため、ガーデンふ頭の岸壁を補強する工事も今年度中に始める予定だ。

 名古屋港は外国船の寄港こそ少ないが、日本船に限れば19年は、トップ6位(速報値)に入っている。同港管理組合誘致推進課の担当者は「海外へ行く船より、国内を回る日本船から再開すると思われるので名古屋港への寄港は早めに戻ると期待している。引き続き施設の充実は進めていきたい」と話している。(臼井昭仁)

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 国土交通省によると3月以降、全国で客船の運航が止まっている状態だ。

 愛知県内では、三河港の蒲郡ふ頭(蒲郡市)で今年、「ダイヤモンド・プリンセス」など3回の寄港が予定されていたが、いずれも新型コロナウイルスの影響で中止になった。地元・蒲郡市は、2016年に「ぱしふぃっくびいなす」が初めて寄港して以来、客船の誘致に力を入れており、昨年と一昨年は1回ずつ寄港している。