拡大する写真・図版西留辺蘂駅で降りる留辺蘂高校の生徒たち=9月8日朝、北海道北見市

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 広大な北海道では少子化が進み、周辺部では公立高校の統廃合や学級減が深刻化している。周りに他に高校がないなどの理由で存続している学校でも、教員の配置基準が壁になり、国公立大学受験に必要な科目が学べない事態も起きている。

 北海道北見市留辺蘂(るべしべ)町。温泉地として知られるが、市中心部から車で40分以上かかる。9月3日午前8時すぎ、JR石北線西留辺蘂駅に列車が着いた。留辺蘂高校の生徒たちが車掌に定期券を見せながら次々に降りてくる。この改札のない無人駅は、同校への通学のために地元の強い要望を受けて2000年に新設された。

学校がなくなる

 そんな同校は、生徒の減少で「募集停止」の瀬戸際に立たされている。募集停止の先には、「廃校」が待っている。

 道教育委員会によると、1学年の人数が3年続けて20人を下回るなどした高校は募集停止の対象となる。全校生徒44人の同校は、20年度の高校配置計画で募集停止が決まる予定だったが、21年度に先送りされた。地元の北見市教委などが定員割れ対策を講じるための「猶予期間」としている。ただ、ある道教委関係者は「仮に来年度だけ入学者が増えても、募集停止の方針は変わらないだろう。安定して生徒が集まるような、根本的な改善が大前提だ」と話す。

 これに対し、同校の池田哲也校長は「就職希望者と進学希望者のどちらにも対応できるように、特色あるカリキュラムを作っている」と説明する。同校の総合学科は、普通科、専門学科につぐ「第3の学科」の位置づけで、2年次から希望する進路に応じて授業を選択できるのが特徴だ。

 生徒たちに尋ねると、授業への満足度は低くない。福祉の勉強がしたくて同校を選んだという3年生の笠井朋華さんは、「人数が少ない分、先生方は生徒一人ひとりに親身になって教えてくれる。母校が無くなってしまうのは寂しい」。

拡大する写真・図版英語の授業を受ける留辺蘂高校の生徒たち=9月8日、北海道北見市

 募集停止には地元の反発も大きい。7月3日に道教委が開いた説明会では、反対や疑問の声が相次いだ。「北見市中心部の高校に行けなかった生徒の受け皿が無くなる」。切実な指摘に道教委の担当者は明確な回答ができなかったという。同校PTAが中心となった存続を求める署名活動は、留辺蘂地区の住民が6千人ほどなのに対し、すでに1万2千筆を超えた。北見市の他の地域からも署名が集まったという。

 同校は毎年、市内の中学校教員向けの進路説明会などで売り込むが、北見柏陽や北見北斗といった、市の中心部にある高校に押されがちだ。中学校に各高校の担当者が集まり、与えられた時間の中でアピールする。だが、偏差値が高かったり、部活動が盛んだったりする高校にしか機会が与えられないことが多い。1・5キロほどの距離にある地元の中学校にも「どうしてもと言うなら10分だけ」と渋られたという。

 池田校長は「家庭の事情でどうしてもここにしか通えない子や、中学時代はなかなか学校に通えなかったが、ここにきてから毎日登校できるようになったという子もいる。偏差値や経済効率以外の視点でも評価していただきたい」と訴える。

拡大する写真・図版留辺蘂高校では登校してくる生徒たちを教諭が出迎えるのが日課になっている=9月8日、北海道北見市

受験科目を学べない

 募集停止の基準に達していても、地域の通学事情などを考慮されて存続される学校もある。そんな学校の一つが、人口約3100人の北海道月形町にある月形高校だ。

 同校は町唯一の高校。18年に…

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