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 浜松市が3月に発行した冊子「浜松市の名木&巨木」に枯れたり折れたりして、説明通りには存在しない樹木が複数掲載されていることがわかった。同市の愛好家が掲載された191カ所のうち、特定できた189カ所を訪ねて確認した。冊子は図書館などに寄贈されたほか、一般にも販売され、市は内容を訂正する方法を検討している。

 冊子は市内の天然記念物や保存樹・樹林などに指定されている名木を写真付きで解説し、一覧表も掲載している。市緑政課が昨年夏から取材し、まとめた。400冊を公的機関や関係者に配布。一般にも1冊300円で販売し、600冊を完売したという。

 「歴史を感じることの出来る巨木が大好き」という同市中区の男性(65)は4月に購入。冊子を手に一本一本訪ね歩いたが、北区の天然記念物「伊目のノウゼンカズラ」や天竜区の「高瀬のニッケイ」など、枯れたり折れたりしているものが少なくとも6カ所確認されたという。

 男性は「やっとたどり着いたら枯れていたというのが何カ所もあった。緑政課に伝えたが、『天然記念物は文化財課のデータを載せた』というばかり。発行した責任を果たすべきではないか」と話す。

 6カ所は、いずれも市指定の天然記念物。緑政課の廣野浩之課長は「天然記念物のデータは文化財課からもらった。内容も確認してもらっている」とする。

 冊子を頼りに、男性が枯れていると指摘した「高瀬のニッケイ」を訪ねた。冊子には「樹高15メートル、幹周3・43メートル」とあるが、幹は折れ、地上から2メートルほどが残るのみ。中は空洞で表皮もボロボロだった。近所の男性は「道路の拡張などでだんだん枯れ、5、6年前の台風で折れてしまった」と話す。

 市文化財課も折れたことは把握していたが、緑政課から掲載内容の点検を依頼された際、天然記念物に指定された当時のデータを基本にOKを出したという。

 文化財課の鈴木一有課長は「植物は年々変化し、所有者、管理者の問題もあって毎年、毎年確認するのは難しい」と説明。「ニッケイ」以外の木についても現状と冊子の表記が異なるものがあることを認識はしているとしつつ、「ニッケイの数字は明らかに誤り。今は状況が変わっていることを伝えることへの想像力が欠けていた。申し訳ない」と話した。

 緑政課の廣野課長は「発行者として申し訳ない。『見に行ったらなかった』という被害を防ぐために何らかの訂正措置をし、購入者にも知らせる方策を取りたい」と話している。(菅尾保)