売れないプランター、ネコがくつろぐ「高級ベッド」に
岐阜県の旧付知(つけち)町地区(現中津川市)は、伊勢神宮の御用材にもなる良質なヒノキの産地として知られる。その付知産ヒノキで作ったネコのベッドが人気だ。名付けて「付知ヒノキの高級ねこプランター」。元々は花のプランターだったが一つも売れず、「うちのネコはベッドにするかも」というスタッフの発案で生まれ変わった。
ベッドは横45センチ、奥行き21センチ、高さ18センチ。ヒノキの香りがほんのり漂う。ネコもうっとりした表情で、くるんと身を委ねた。
開発と販売を担当したのは、観光事業会社「ゴシンボク」だ。式年遷宮にも使われるこの地のヒノキに誇りを感じ、「ご神木」から社名を取った。
8月28日に「ねこプランター」の販売を始めたところ、SNSで話題になり、首都圏からも注文が入った。9月22日までに計32個が売れた。
ヒノキの部材は、林業グループ「付知町優良材生産研究会」が、地元の中学生向けの木工キットとして開発した。在庫分を「プランターとして販売して」とゴシンボクに依頼があった。
7月初旬に販売したが、1カ月近く経っても売れない。スタッフは「花のプランターでは絶対売れない」と代替策を検討。あるスタッフが、2匹の飼い猫がベッドとして使わないか試したところ、気持ちよさそうに中に入った。
ゴシンボクの山田文美(あやみ)さん(53)は「ネコってちっちゃいものに入ると、すごく至福の表情をするので、ここにキュッと詰まってもらって、ぐっすり寝てもらえるといいなあと思った」と話す。「売るにはこれしかない」とスタッフの意見が一致。ネコの体が蒸れないように底にすき間を作る改良を加え、ベッドとして売り出した。
体重が5キロまでのネコ用だが、大柄のネコでも入れる大きさの特別注文を受ける予定もあるという。
付知町優良材生産研究会の三浦八郎会長(67)は「プランターと言えば、花かミニトマト。ネコが入るとは、俺たちでは思いつかない。売れ行きに驚いている」。在庫はなくなり、慌てて完成品やキットを追加で作った。
「付知ヒノキの高級ねこプランター」の完成品は4400円、組み立てキットは3300円(いずれも税込み)。付知町の「#龍(りゅう)の家つけち峡ブルー」の店頭のほか、ネット(https://goshinboku.amebaownd.com/)でも販売している。問い合わせはゴシンボク(0573・64・8888)。(戸村登)
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