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 認知症の人や家族、支援者たちがたすきをつないで全国で走り、認知症への理解や交流を広げる「RUN(ラン)伴(とも)」。今年は新型コロナウイルスの影響で中止になったが、個人が走った距離や動画をフェイスブックに投稿する「ひとりでRUN伴」が今月から始まった。すでに約400人が参加。目標は合計3千キロだ。

場所や距離は自由、走っても歩いても

 RUN伴は2011年にNPO法人「認知症フレンドシップクラブ」が始めた活動。毎年7~11月に全国各地で認知症の人や家族、支援者、地域住民が参加し、認知症の人を支援するシンボルカラーのオレンジのTシャツを着てリレーマラソンをしている。だが、10回目のはずだった今年は、高齢、持病のある人や介護職の人への感染リスクを考慮し、3月に中止を発表した。

 コロナ禍で、介護サービスの利用自粛や認知症の人が集う場の休止などが続く。「社会とのつながりが大切な認知症の人や家族にとって、人と会えないことの影響も大きい。バーチャルでもたすきをつなげないだろうか」。NPO理事長の井出訓(さとし)さんや理事の徳田雄人(たけひと)さんらが相談し、参加者が各自で走り、投稿を共有する「ひとりでRUN伴」を始めた。

 参加者は走っても歩いてもよく、距離や場所も自由だ。

 フェイスブックの「ひとりでRUN伴」ページ(https://www.facebook.com/groups/792747474596871別ウインドウで開きます)に誰でも投稿できる。投稿された動画や走行距離の合計は随時アップされている。

 リレーではオレンジ色のTシャツを着ることから、オレンジ色の物を持ち、たすきをつなげる様子を距離とともに投稿してもらい、リレーを再現しようとした。ただ、「実際は、皆さんが思い思いの場面の写真や動画を自由に投稿している。それもいいなと思っています」と徳田さん。

 どのくらい反応があるか予想がつかなかったというが、今月23日までに距離合計は2762・3キロに達した。

 アルツハイマー型認知症と診断され、横浜市に住む杉本欣哉さん(68)は、ヘルパーや妻の智穂さん(63)と家の近くの緑道などを2日に分けて合計3・3キロ歩いた。智穂さんが欣哉さんと写った写真と距離を投稿した。

 新型コロナの影響で4月以降、欣哉さんは介護サービスが使いづらくなった。利用する事業所を変えた時期もあり、慣れない環境に戸惑った。智穂さんは夫を介護する時間が増え、余裕がないと感じることもある。自身の投稿へのメッセージやほかの参加者の投稿を見て、智穂さんは「夫の元気な姿を伝えられ、互いを応援しあうような気持ちになれた」という。

 欣哉さんは15年からRUN伴に参加しているが、徐々に症状が進んでいる。「夫は体調に波がある。たすきをつなげるか不安で、昨年はRUN伴に参加しなかった。今回のように自分のペースで参加できるのはとてもいい。イベントが開けるようになっても、オンライン参加も続けてもらえたらうれしいです」(智穂さん)

 徳田さんは「動画や写真を投稿する時に近況などメッセージを寄せてくれる人もいて、人とつながりあうことの大切さを再認識した。これからもその時々に応じたやり方で、認知症に関わる人たちの出会いをつくっていきたいです」と語る。 (畑山敦子)