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 台風12号は大きな影響はなく関東の東海上を進んだが、大雨が予想された首都圏沿岸部では、複数のパチンコ店が浸水に備えた車の「避難所」として、立体駐車場を開放した。同様の動きは近年、広がっている。

 「台風接近に伴い、当店立体駐車場を開放いたします」。パチンコ大手「マルハン」の茅ケ崎店(神奈川県茅ケ崎市)は23日正午、店のツイッターで呼びかけた。460台分の立体駐車場の2階から4階部分を一晩中開放。照明をつけ、エレベーターも稼働させた。

 国道バイパス沿いの店舗のすぐ脇には、小出川が流れる。昨年10月、関東甲信などに大きな被害をもたらした台風19号の際は水位が上昇、住民へ避難勧告が出された。この時、来店客から「車を置いて帰りたい」と要望があり、数十台が夜通し駐車した。この経験が今回の対応につながった。

 マルハン本社(京都市上京区)によると、この夏の九州豪雨の際にも、系列の複数の店舗が立体駐車場を開放。2018年の台風21号の際には、大阪府の岸和田店が停電した地域の住民に店舗を開放、充電や暖を取るのに施設を提供したという。

 「キコーナ」海老名店(神奈川県海老名市)も23日午後、立体駐車場の開放を告知した。昨年から災害時の取り組みを開始。約750台収容の駐車場は、多い時で40~50台ほどの利用があった。今後も続ける予定だ。

 キコーナを運営する「アンダーツリー」(大阪市西区)の危機管理担当者によると、各地の店舗のうち約半分は立体駐車場を持つ。海老名店以外でも、駐車場の開放を各店舗で進めている。担当者は「災害時、地域の方々の力になれれば」と話した。

 パチンコ店による駐車場開放は昨年10月の台風19号の際に注目された。今月上旬の台風10号でも九州各地の店が開放を告知。店のSNSには感謝の声が寄せられた。

 業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」によると、立体駐車場や豊富な電源を備えるパチンコ店の特性に注目し、災害時の拠点として利用する動きは、2011年の東日本大震災以降に広まった。食料や毛布を備蓄し、自治体と地元のパチンコ店組合が協定を結ぶ例も各地で増えているという。

 新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、緊急事態宣言下に営業を続けるパチンコ店などが批判を浴びた。担当者は「パチンコ店への風当たりは強い。地域に貢献できることは喜ばしく、積極的に取り組みたい」と話した。(柏木友紀、山本悠理、杉浦達朗)