「娘と心中していたかも」性暴力が家族に残したPTSD

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大野晴香
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 幼い子どもや若い女性を狙った性犯罪が後を絶たない。性暴力は被害者に深い傷を残すだけでなく、事実を知った身近な人にも強いストレスを与える。専門家は、被害者の保護者らに対するケアの必要性を訴える。

 「とりあえず私がしっかりしなきゃ」

 東海地方の非常勤講師の40代女性は、10代前半の長女が性暴力の被害を受けたと知ったとき、そう思った。

 加害者は近所に住む男。長女と同年代で、幼いころからの顔見知りだった。

 長女は継続的に被害に遭い、悩んだ末、最初に学校の先生に打ち明けた。女性が学校を通じて伝えられたのは、性暴力が始まってから半年ほど経ったころだった。長女は今も、被害の状況をはっきりとは話してくれていない。

 思い返せば、長女の様子に変化はあった。食欲がなくなったり、学校に行きたがらなかったり。体に触れられることや体を見せることを強く嫌がるようになり、1人で外出もしなくなった。

 だが女性は「思春期か反抗期かな」と思っていた。

 被害を知らされたとき、取り乱したりせず、母親としてしっかり自分を保たなければと考えた。

 テレビで性被害に遭った子どもを持つ親の特集を目にしたことがあった。番組でのアドバイスを思い出し、長女をこれ以上傷つける言葉をかけないよう、細心の注意を払った。自分を鼓舞して、とにかく明るく振る舞おうとした。

 2カ月ほど経ったころ、長女…

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