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 第27回新聞配達に関するエッセーコンテスト(日本新聞協会主催)の小学生部門で、青森県弘前市の小学3年高山京慧(たかとし)さん(9)が最優秀賞を受賞した。高山さんは「空手の大会で金メダルをもらったぐらいの気持ち。自信がついてうれしい」と喜びを語った。

 高山さんは小学2年生の時、空手の大会に出場するために早朝に家を出発した際、「新聞配達のおじさん」から優しく声を掛けられたことを作文に書いた。高山さんは、「朝すごく早かったのに、毎日お仕事頑張ってすごいなと思った。新聞配達のおじさんって優しい人が多いんだな」。試合の結果を手紙で伝えた翌朝、「新聞配達のおじさん」から手紙をもらった時には「サンタさんからもらったみたいでびっくりした」と振り返った。

 エッセー募集は新聞を読んでいる時に自分で見つけ、応募した。母親の美季さん(37)からの勧めで、朝に時間がある時には新聞を開いているという。美季さんは「いろんなことを知ってほしくて新聞に目を通すように言っています。5分とか短時間ですが……。漫画の『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』を買いたくて、(最優秀賞の)賞品の図書カードにつられたのだと思います」と笑う。

 高山さんはメダルが取れなかった悔しさを「新聞配達のおじさん」に伝えた後、練習を重ね昇級した。次はメダルを取って報告したいという。(貞国聖子)

受賞作は

 第27回新聞配達に関するエッセーコンテスト(日本新聞協会主催)の最優秀賞作品は次の通り。

【小学生部門】

「え顔のプレゼント」 高山京慧(たかとし) 9歳(青森県弘前市)

 「時間だよ。早くおきて」

 時計を見るとまだ3時で、ねむくてねむくて目がくっつきそうだった。空手の東北大会へ出場するために、秋田けんへ行くのだ。

 4時。出発の時間だ。

 道着を着てげんかんを出ると新聞はいたつのおじさんがいて、「早おきだね。空手の大会かな? がんばってきてね」と声をかけてくれた。ぼくはなんだかうれしくなって、「オス! メダルをとってきます!」と言って車に乗りこんだ。

 でも、けっかは8位でメダルをとることはできなくて、帰りは車の中でずっと泣いていた。泣けば泣くほど「がんばってね」とえ顔で見送ってくれたおじさんを思い出して、くやしかった。

 その日の夜、ぼくは「メダルをとれなくてごめんなさい」と書いた紙をポストにはってねた。すると、次の日の新聞には、「がんばったね。その気もちがあれば、次はきっとかてるよ」と書かれた紙がはってあった。

 それから半年。

 ぼくはむらさきおびから茶おびにしょう級して、練しゅうをがんばっている。おじさん、来年はぜったいにメダルをとって、え顔のおかえしをするからね。

【中学生・高校生部門】

「新聞と一緒に届いた心遣い」 塚本凌大 17歳(愛知県刈谷市)

 今年もわが家の玄関にツバメがやって来た。

 キィー、カタン。毎朝、自転車に乗ったおばさんがわが家に新聞を届けてくれる。雨の日には濡(ぬ)れないようにビニールでパックされた新聞が届く。だが、田植えの季節になると雨も降っていないのに、ビニールでパックされた新聞が毎日届くようになった。最初は配達の人が代わったと思っていたが理由は違っていた。ある日、新聞の入ったビニールにツバメの糞(ふん)が少し付いていた。新聞が汚れないようにビニールでパックしてくれていたのだ。新聞を大切に届けてくれるおばさんの心遣いがとてもうれしく、心温まったことを今でも忘れない。

 ブルルル、ガタン。今日はビニールに入った新聞をバイクに乗ったおじさんが届けてくれた。配達の人が代わっても心遣いは受け継がれている。間もなく成長したヒナが巣立っていく。僕も来年の春には高校を卒業して新たな世界へ旅立つが、新聞配達のおばさんのような心遣いができる大人になりたいと思う。

【大学生・社会人部門】

「祖父の手帳」 大塚遙香 31歳(静岡市駿河区)

 祖父は配達屋さんだった。山の中の集落では、毎日険しい坂を上り下りするのは大変だったろう。遊びに行くと、よく私に肩たたきをせがんできたものだ。そんな祖父からは、しわくちゃの千円札が入ったお年玉袋をもらった。いつも「少なくてすまん」と言われながら。ありがとうと返しながらも、私は子供心に、少ないなあなんて思っていた。

 大学生のとき、祖父は亡くなった。かけつけると、冷たくなった祖父の枕元には、一冊の手帳があった。手帳には、配達先のお客さんのことがたくさん書いてあった。通院予定や畑の農作物の種類まで、鉛筆で殴り書きされていた。

 私はこの瞬間、祖父が地域の人たちをどれだけ愛していたのか、初めて知ったのだった。そして、毎年くれた、しわくちゃの千円札は、祖父が必死に働いた証しだった。そう気付いたときには、もう祖父はこの世にはいなかった。私は大声で、何時間も泣き続けた。

 祖父の手帳は、私の宝物だ。毎朝新聞を読むとき、祖父の優しい笑顔を、ふと思い出す。