【動画】「あぶない刑事」の日産レパード、800万円近い高値も 専門店に迫る=北林慎也撮影
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 往年の刑事ドラマ「あぶない刑事」で、「タカ&ユージ」が横浜の街を駆けた覆面パトカー「港303」こと日産レパード。現役当時は不人気車だったはずが、800万円近いプライスタグが付いて中古車店に並んでいる。強気の値付けの理由は? 専門店を訪ねて確かめた。

 神奈川県平塚市にある中古車店「カーショップフレンド」。レパードばかり約50台の在庫がある。車両本体価格は100万~700万円台。ただし、安いほうの値付けは暫定的なものだ。金澤孝士社長(54)が顧客と相談しながら仕上げていき、最上級のレストアを施したものが、総額で800万円近い高値となる。その内外装は、新車と見まごう仕上がりだ。

現役当時は不人気車

 「レパード」は、日産自動車が1980~2000年に生産・販売していた高級スペシャリティーカー。4世代にわたってモデルチェンジを繰り返したが、コンセプトが二転三転して販売台数は低迷を続けた。自動車ファンの間では、現在に至るまでモデルチェンジ下手な日産を象徴する一台として知られる。

 このうち、カーショップフレンドが専門に取り扱うのは、1986~92年に売られていた2代目「F31型」だ。

 ちょうど昭和と平成をまたぐバブル経済期とモデルライフが重なるF31レパードは、当時の人気車だったトヨタ自動車の「ソアラ」をライバルに見立てて開発・投入された。背の低い伸びやかなプロポーションの2ドアクーペとなり、ハイテクのAVシステムなど先進的な豪華装備と、2リッター/3リッターのV6エンジンによる余裕ある走行性能が特徴的だった。

 ただ、基本設計の古さに加え、「シーマ」「セフィーロ」といった新車種の台頭によって社内ラインナップの中で埋没したこともあり、販売面ではソアラの後塵(こうじん)を拝し続けた。88年には、曲面を多用したデザインに一新する大規模マイナーチェンジでテコ入れを図ったが挽回(ばんかい)できず、92年に販売を終える。「J.フェリー」のサブネームが付いた3代目はコンセプトをがらりと変え、北米市場を強く意識したアメリカンテイストの4ドアセダンとなった。

人気の「港303」

 ところが、販売終了から30年近く経てなお、この悲運の2代目レパードにこだわり続けるファンがいる。

 カーショップフレンドには、このクルマを新たに買い求めたり、長年乗り続ける愛車の整備を依頼したりする全国からの客が絶えない。ほとんどが40代以上の男性。やはり、「あぶない刑事」が購入のきっかけになったファンが多いという。

 「あぶない刑事」は86年、シリーズ第1作が日本テレビ系で放送された。舘ひろしさんと柴田恭兵さん演じる刑事コンビ「タカ&ユージ」が横浜の街を駆る覆面パトカー「港303」として劇中に登場したのが、車両協力する日産が提供したF31レパードだった。犯人役のトヨタ車を追い回す派手なカーチェイスはファンの語り草だ。

 カーショップフレンドでも、一番人気で価格が高いモデルは、前期型の3.0アルティマ、ゴールドツートンのサンルーフ付き。あの「港303」と同じ仕様だ。

再生産パーツも用意

 カーショップフレンドのレストアは、オリジナル状態の徹底的な再現にこだわる。

 部品をすべて取り外し骨格だけにしたドンガラ状態のボディーを、純正カラーで塗り直す。そして、貴重なデッドストック部品も用いながら、内外装の劣化したパーツを置き換えていく。サンルーフ付きが人気のため、サンルーフが付かない車両にドナー車から屋根ごと移植することもあるという。

 さらに、カーショップフレンドでは日産のライセンスを得て、一部のパーツを復刻・再生産している。特に、劣化が早いゴムモール類の再生産品はレストアに欠かせないという。

 こうした気合の入ったレストア作業には数カ月かかるが、金澤社長は「特別なことはしていない。当たり前のことをしているだけ」と話す。あくまで新車当時の仕様と客の要望に忠実に従い復元するだけ、という意味だ。

 近年では、再放送で初めて「あぶない刑事」を見て劇中のレパードに魅せられ、店舗を訪れる若い人も多い。免許取り立ての18歳の購入客もいたという。

 ちょうど今月から、テレビ神奈川(tvk)が第1シリーズの再放送を始めた。令和になっても静かに熱く、レパード人気は続きそうだ。(北林慎也)