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 産業用ロボット製造販売会社「豊電子工業」(愛知県刈谷市)の営業秘密をめぐる不正競争防止法違反容疑事件で、逮捕された元社員が転職先の競合他社に持ち込んだとされる営業秘密を、転職先が「リスクがある」などと判断して利用しなかったことが愛知県警への取材で分かった。県警は元社員が転職先で優遇されようと考えていたとみて調べている。

 逮捕されたのは、同社の元営業社員黒江博之容疑者(41)=同県東海市。昨年8月、不正な利益を得る目的で、同社のサーバーから営業秘密にあたるロボットの設計情報データなど59件をコピーした疑いがある。容疑を一部否認しているという。

 県警によると、黒江容疑者は昨年8月末に同社を退職する際、情報漏洩(ろうえい)を禁じる誓約書類にサインしていた。翌9月に県内の競合他社に転職したが、退職直前に私用のハードディスクに約1万6千件のデータを複製したという。さらに転職先では逮捕容疑の59件を除くデータの一部について、紙の資料にして示したが、転職先は「同業他社のものはリスクがある」と提供を受けなかったという。豊電子工業側の経済的損失はなかったとみられる。

 黒江容疑者は逮捕前の任意の聴取に対して「(データを示せば)優遇されると思った」と説明したという。データの不正コピーは豊電子工業側が気づき、昨年11月に刈谷署に相談。県警は同12月に転職先の会社などを家宅捜索した。(高絢実)