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 大型のマリモが世界で唯一群生する北海道釧路市の阿寒湖。国の特別天然記念物・マリモの生育の妨げになる水草を、周辺の森で食害が問題になっているエゾシカの餌にする実験が始まった。地元の小学生が水草採りから食害の学習、餌付けまでかかわり、マリモも森も守ろうという取り組みだ。

 8月27日、湖北部のチュウルイ湾は鏡のように滑らかだった。青空や白い雲、山々を映し出す。底の水草が揺れるのが見える。

 「わあ、すごいのが採れた」「重いー」

 岸から約200メートルのボートの上で、釧路市立阿寒湖小学校の4年生が歓声を上げた。3人ずつ交代で乗り、二またになっている長さ5メートルの棒を水深約3メートルの湖に突き立てて、巻き付いた水草を引っ張り上げた。

 市教育委員会など官民25団体でつくる「阿寒湖のマリモ保全推進委員会」が実施した。ふだんは展示場で形が崩れたマリモの破片を集めて「マイマリモ」を作ってもらい、湖底に沈め、群生地の再生を話し合ってもらう活動に取り組む。

 今回、3、4年生の計19人は許可を得て立ち入り禁止地域に初めて入った。3年生は岸に打ち寄せられたマリモを観察したあと、4年生が採ってきた約100キロ分の水草を干す作業をした。

 児童らは10月に湖周辺の森に入り、ニレやイチイなどの樹皮がエゾシカに食べられている状況などを調べる。干しておいた水草は大人が採った分も合わせて来年2月ごろに森林に置く。監視カメラでエゾシカの反応を確かめる。

 3人がかりで水草を引き揚げた4年生の飯塚悠真さん(10)は「水草はあんまりおいしそうじゃないけどエゾシカは食べてくれると思う。好物になってくれるかな」と話す。

 かつて阿寒湖は水質悪化でマリモの生息域が狭まったが、環境意識の高まりにより現在は水質が改善された。ところが今度は湖の透明度が増すとともに水草が大量発生するようになった。阿寒湖のマリモは、波によって水底で揺られて回転しながら大きく育つ。水草が増えると水の流れが遮られ、成長が妨げられるという悪循環が起きた。市教委は2018年からダイバーやボランティアに依頼して本格的に水草の除去に取り組むが、毎年1トン以上の水草の捨て場に困っていた。

 一方、湖周辺の森では1984…

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