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 台風10号に伴う宮崎県椎葉村の土砂崩れで、建設会社「相生(あいおい)組」の行方不明者3人の捜索が25日、打ち切られた。土砂崩れに巻き込まれながらも自力で脱出した相生秀樹社長も最後の「一斉捜索」に参加。朝日新聞社の取材に応じ、苦しい胸の内を明かした。

 相生社長は土砂崩れで胸の骨を折るけがを負い、今も村内の病院に入院中。この日は病院から外出許可を取り、朝から夕方まで土砂崩れ現場や行方不明者の捜索場所を見て回った。「どうしても来ならん(来ないといけない)と思ってですね……」。前日の雨で、勢いと水量が増した眼下の十根川を眺めながら、つぶやいた。

 入院中の外出は24日に続いて2回目。24日は、17日に遺体で発見されたベトナム人技能実習生のグエン・ヒュー・トアンさん(22)の葬儀に参列するためだった。「火葬があったからね、なんとか立ち会って……」と声を絞り出した。

 相生社長は上の道路から川で重機を操る従業員らに捜索場所について細やかな指示を出していった。「ずっと『一刻も早く現地に行きたい』『捜索に加わりたい』という気持ちだった。どうしても見つけらんと(見つけてやらないと)」

 捜索の打ち切りは、相生社長から村に申し出た。「多くの協力には感謝の気持ちでいっぱいだが、捜索するみなさんの生活がかかっているし、どっかで区切りつけないと……」。今後は「自分たち(相生組)で捜していく」と話した。

 椎葉晃充村長は「3人が見つかっていない状態での捜索打ち切りは、断腸の思いだが、現状の活動継続は非常に厳しい」と述べた。

 土砂崩れは6日夜に発生。建設会社の事務所、社長宅、倉庫の計3棟が土砂に押し流され、4人が行方不明になった。相生社長の妻で60代の勝子さん、長男で30代の泰孝さん、ベトナム人技能実習生で20代のチャン・コン・ロンさんが今も不明のまま。ベトナム人技能実習生のグエン・ヒュー・トアンさんは現場から約3キロ下流で堆積(たいせき)した土砂の中から遺体で発見された。(浜田綾)