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 昨年7月、米上院民主党が開いた気候危機特別委員会に、共和党のベテランコンサルタント、フランク・ルンツ氏が出席し、告白した。「2001年に、私は間違っていた」

 当時はブッシュ(子)政権で、党の弱点とされた温暖化問題を政治争点化。温暖化の科学的合意はできつつあったが、ルンツ氏はメモで「不確実性を第一の問題として突き続けろ」と説き、今でもトランプ氏をはじめ多くの共和党議員のスタンスになっている。米国の保守層には、政府や科学などの権威への不信が元々あり、個人の行動の変革をせまる温暖化への懐疑論を受け入れやすい土壌があった。

 しかし、ルンツ氏は、ロサンゼルスの自宅が山火事に遭い、九死に一生を得て、「温暖化はリアルだ」と考えを変えた。「私が18年前に書いたものを使ってほしくない。今では正確ではないからだ」

 ハーバード大による米国の若者18~29歳を対象の3月の調査では、トランプ政権の温暖化対策への取り組みに反対する人が全体で73%と圧倒した。若い世代は党派を超えて温暖化の脅威を感じ対策に前向きだ。共和党の世論調査会社パブリックオピニオン・ストラテジーズは「気候変動は若い世代の最も重要な問題の一つだ」と分析する。

 18年の中間選挙で民主党から最年少で当選したオカシオコルテス下院議員らは、再生可能エネルギー関連産業での雇用創出など「グリーン・ニューディール」を提案した。

 バイデン氏も、新型コロナ危機からの経済回復策「ビルド・バック・ベター」(より良く建て直す)の柱に、温暖化対策を盛り込んだ。グリーン・ニューディールを下敷きに、2兆ドルを投資して再エネ拡大やインフラの脱炭素化を進め、50年までに実質排出ゼロを目指すことを掲げる。バイデン氏は「トランプ氏は気候変動を『でっち上げ』だと考えるが、私は『雇用』(のチャンス)だと考える」と語る。

 公約集で温暖化に触れていないトランプ氏だが、海面上昇とハリケーン被害が直撃するフロリダ州を中心に、温暖化対策を重視する共和党議員が出ている。(ワシントン=香取啓介)

向き合わないトランプ氏「すぐに涼しくなる」

 車の両側には高さ15メートルを超える炎が立ち上り、ほおを照らした。山間の集落は建物が崩れ落ち、乗り捨てられた車が残っていた。「たくさんの爆弾が爆発したようだ。何度も経験しているが、恐ろしい戦場のようだった」

 米カリフォルニア州ブット郡に住む映画制作者のナンシー・ハミルトンさん(58)は9月上旬に地域を襲った山火事を語る。郡内で少なくとも15人が亡くなり、今も延焼を続けている。ハミルトンさん宅には、家を失い避難してきた友人たち12人が身を寄せる。一帯は2年前にも85人が亡くなった当時最悪の山火事に襲われた。ハミルトンさんは再現映画を撮影し、8月末にネットで公開したばかりだった。

米大統領選の争点にもなっている温暖化問題。トランプ氏が大統領になって以降、米の温暖化への取り組みはどう変わったのか。一方、次の大統領選でバイデン氏が勝利した場合、日本の取り組みに影響が生じるとの指摘もあります。記事の後半で読み解きます。

 「雨は少なくなり、森は乾き、…

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