自主映画製作でスタッフ・劇場をW支援 入江監督の思惑

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小峰健二
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 コロナ禍の影響で職を失ったスタッフの雇用を創出し、苦境にあえぐミニシアター(小規模映画館)を支援したい。そんな思いを持つ中堅監督の製作プロジェクトが始動している。大手映画会社を頼らず、スピード感をもって製作できる自主映画を「起爆剤」にしたい考えだ。

 発案したのは自主映画「SRサイタマノラッパー」(2009年)で名をはせ、「ジョーカー・ゲーム」(15年)や「AI崩壊」(20年)など大手出資の商業作品も手がける入江悠監督(40)。新型コロナウイルスの感染が広がっていた春先、多くの製作が次々にストップし、自身の大作映画とテレビの連ドラ企画も各1本ずつ「無期延期」の決定が下った。このままではフリーの立場で働く専門スタッフが業界を離れていくのではと危惧した。

 時を同じくして、休業要請を受けて休館を余儀なくされたミニシアターの苦境も伝えられていた。「僕を育ててくれたミニシアターに帰り、そこで上映する映画を再びつくって支援できないか」と思い立ち、独自の映画づくりを始めることを6月にブログやSNSで発信した。

 商業作品の演出が続き、一度シンプルな製作に立ち返りたいと考えていたこともあり、自主映画用に温めていたプロットを1週間ほどで脚本として仕上げた。制作費は、自己資金とクラウドファンディング(CF)で調達し、フリーのスタッフの雇用を創出することにした。

 日本でスタンダードになった製作委員会方式では関与する企業が多く、企画を通すまでに時間がかかる。一方で、自主映画であれば、企画の自由度が高く、スタッフや俳優選びもスムーズにいく。コロナの収束が誰にも見通せないなか、スピード感を重視した。

 「大手の作品では敬遠され、企画として通りにくい」という、公文書改ざんなどの政治的テーマを盛り込んだ作品のタイトルは「シュシュシュの娘」と決定。出演者は、応募してきた2500人超からリモート面接などを通じて選考し、福田沙紀が主演するほか、吉岡睦雄、根矢涼香、井浦新らが脇を固めることになった。発案から3カ月余り、9月末にクランクインした。

 来年には全国のミニシアター…

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