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 ミズナラやクリなどブナ科の広葉樹が病原菌で枯れるナラ枯れが、県北でも広がっている。鳥取県側から南下したとみられ、2009年に初確認後、10年で約7400本にまで増えた。景観の問題だけでなく、倒木で二次被害の危険性もあり、県などが対策を進めているが有効打になり得ていない。

 ナラ枯れの原因は6月下旬から8月に、幹に入り込む体長5ミリほどの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)。体についたカビの一種「ナラ菌」が水の通りを悪くさせ、9月には葉がしおれて赤褐色に変色し、枯れてしまう。幹が30センチ以上ある太い老木が被害に遭いやすいという。

 県治山課によると、県内では09年、真庭市と鏡野町でナラ枯れが確認された。以降、広がり続けて17年に新庄村、18年には新見市でも新たに被害が出ている。

 19年のシーズンは8市町村で、前年の倍以上にあたる計3964立方メートル(約7400本分)が枯れた。真庭市(1890立方メートル)が多く、県全体の被害の半分を占めた。西粟倉村(517立方メートル)、鏡野町(384立方メートル)のほか、奈義町と美作市でも200立方メートルを超えた。

 被害拡大の原因は不明だが、県は猛暑で降雨量が減り木が弱まったことで、カシナガが入り込みやすくなった可能性があるとみる。

 県は毎年9月上旬、ヘリコプターでナラ枯れの状況を調査。この航空写真などを基に、各市町村が来春にかけて実地調査し、被害状況をまとめる。

 被害はとどまる気配がない。今シーズンの調査はこれからだが、真庭市林業・バイオマス産業課の柴田正人主幹は「蒜山がひどい。山の中腹までだった被害が今年は山頂付近まで変色している」と話す。

 対策にも苦しむ。枯れた木にいるカシナガは、木を切り倒して薬剤で蒸したり、粘着シートで捕獲したりして処分する。ただ、この方法は多くの人手が必要で労力も大きい。

 そこで真庭市は昨年から、生きた木の幹に誘引効果のあるアルコールを使ったわなを仕掛け、カシナガをおびき寄せる方法も実施。今年は市内にわな約150基を設置したが、根本的な解決にはつながっていないという。市はカシナガ対策と合わせ、観光客が多い蒜山三座の安全対策を重視し、来春には登山道近くで枯れた木の伐採などを行う予定だ。

 県治山課の内山貴博・総括副参事は「『特効薬』はない。森林の自己再生力にも期待しながら、地道にできることを進めていく」と話す。早期の発見や対策に努め、ナラ枯れの広がりの抑え込みに注力していくという。(中村建太)

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