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 2015年1月の暴風雪による高波被害で不通が続いているJR日高線の鵡川(むかわ)―様似(さまに)間(116キロ)について、沿線7町とJR北海道は28日、来年4月に不通区間を廃線しバスに転換することで大筋合意した。JRは支援金25億円を出し、代替バスの運行費などに充てられる。JRは経営悪化で4年前に路線網の見直しを公表し、廃止は石勝線夕張支線、札沼線の北海道医療大学―新十津川に続き3例目となる。(長崎潤一郎、西川祥一)

 この日は沿線の7町(日高、平取、新冠、新ひだか、浦河、様似、えりも)の臨時町長会議が新ひだか町であり、JR北海道の綿貫泰之副社長、道庁の担当者も出席した。

 会議では、7町とJR北が交わす文書案をJR側が示した。終了後取材に応じた様似町の坂下一幸町長によると、来年4月1日の廃線を受け入れる代わりに、その後18年間のバスの運行費20億円、駅周辺の整備などの地域振興費5億円の計25億円の支援金をJR北から受け取ることで大筋合意した。

 JR北は支援金とは別に、護岸の復旧費用も原則負担する。復旧などに関する文書の表現は今後詰めるという。7町とJR北は10月23日にも、不通区間の廃線で正式合意し、バス運行の支援などの覚書を交わす見通し。坂下町長は「来年4月からのバス転換を考えると10月(の正式合意)がギリギリのタイミングだ。より利便性の高い路線にしたい」と述べ、バスの事業者と運行ダイヤやルート決定を急ぐ考えを示した。

 日高線は15年1月の高波被害で線路を支える路盤が流出し、鵡川―様似間が不通となった。JR北によると、同区間は被災前から年間収入の8千万円の15倍の経費がかかり、年10億円超の営業赤字だった。復旧やその後の海岸保全に100億円超もかかるため復旧を断念。16年12月に廃線の協議を沿線7町に要請した。

 7町は昨年11月に廃線を事実上受け入れたが、JRの支援金を巡って調整が難航していた。ただ、28日の会議では金額について異論は出なかったという。

 JR北は16年11月、営業路線の約半分にあたる10路線13区間を「単独では維持困難」と表明。このうち日高線の鵡川―様似を含む5線区を廃止し、バス転換する方針を打ち出している。石勝線夕張支線(新夕張―夕張)、札沼線の北海道医療大学―新十津川は廃止され、残る留萌線(深川―留萌)と根室線の富良野―新得では、沿線自治体との協議が続いている。

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 JR日高線の不通区間で、苫小牧方面から向かって静内の手前となる厚賀―大狩部間(5・5キロ)。太平洋に臨む海岸線沿いで、2015年1月の暴風雪による高波で大きな被害を受けた。10メートル以上にわたり土砂が流出し、レールは宙づり状態に。へこみ、曲がった赤茶けたレールには、時折大きな波が押し寄せる。

 道によると、14年までの10年間で267件もの自然災害に見舞われ、「維持管理にカネのかかる路線」(JR北海道)だった。鵡川―様似間の廃線後、沿線7町はJR北やバス会社と、代替バスのダイヤやルートを検討する。

 沿線の住民らは、現在の代行バスへの不満を訴え、利便性の向上を求める。

 静内駅前で旅館を経営する富岡豊さんは「代行バスは全ての駅前に止まるため、自家用車なら1時間の様似までが2時間近くかかる。新しいバス路線は利便性を良くしてほしい」。

 道立静内高校は、全校生徒約470人のうち約140人がバス通学だ。登校時は様似からと鵡川からのそれぞれ1本に大勢の生徒が乗る。3年生の男子生徒は「車内が密でコロナも不安。朝の本数がもっとあれば。ダイヤも始業時間に合わせてほしい」という。

 鉄路の存続を求めてきた「JR日高線を守る会」代表の村井直美さんは「廃線は非常に残念。町長会の協議は非公開で住民には不透明だった」とし、「バスになっても赤字は変わらない。JRからの支援金が底をついても運行は続くのだろうか」と不安を訴える。

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 〈日高線〉 王子製紙苫小牧工場に木材を運ぶために1913年に敷設された私鉄がルーツで、27年国有化され、37年に現在と同じ様似駅まで延長された。多くの区間が海岸沿いで、たびたび自然災害に見舞われた。不通区間以外の苫小牧―鵡川(30・5キロ)もJRは「単独では維持困難」としており、昨年度の営業赤字は3・3億円。こちらは国や沿線自治体の支援を前提に鉄路が存続する。

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