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 激辛の一品が早稲田大学の学生らに愛されながら、3年前に閉店したカレー店があった。その味がこの夏、全国のファンの後押しも受けて、コロナ禍にもめげず東京・早稲田で復活した。「飲食店はもういい」と決めていた店主を翻させたのは、一本の「間違い電話」だった。

 JR高田馬場駅から東へ徒歩で約10分。明治通り沿いの小さな店に、黄色い看板が掲げられている。「早稲田メーヤウ」(東京都新宿区)は、早大卒業生で会社員の高師雅一(たかしまさかず)さん(33)がオーナーだ。カレー店「メーヤウ」の屋号を引き継いで、今年7月にオープンした。

 メーヤウは1989年に大学のすぐそばで創業した。96年から高橋忍さん(64)が店主を引き継ぎ、約20年にわたって厨房(ちゅうぼう)に立ち続けてきた。

 名物は10種のスパイスを使った「チキンカリー」(750円)。元から辛いが、さらに店の限界まで辛くしたカレーを先輩が新入生に味わわせるのは「洗礼」と呼ばれ、学生らに親しまれた。

 卒業生でボーカルグループ「ゴスペラーズ」の酒井雄二さんは学生時代からの常連。在学した俳優の堺雅人さんも、数年前に訪れた。

 1日300食を売りあげた時期もあったが、より安い食事で済ませる学生も増えて客足は減った。高橋さんも体力的に限界を感じ、後継者もみつからなかったことから2017年に閉店した。

 高師さんもサークルの先輩から「洗礼」を受けた一人だった。「最初は辛すぎて涙が出た。変な汗をかいて授業どころじゃなかったけど、気がつくとあの刺激が欲しくなっていた」。卒業後も通い続け、優に1千食はたいらげてきた。閉店を知った時は、「ショックで、言葉も出なかった」。

 翌18年の夏。大学のイベントで1日だけ復活したメーヤウに、高師さんは訪れた。そこで元店主の高橋さんが「後継者もいないから」と閉店の理由を話すのを耳にした。この日は勇気が出なかったが、後にSNS経由で高橋さんに「店を引き継がせてください」と伝えた。だが、「店はもうやりません」ときっぱり断られた。

 数日後の夜。仕事帰りの高師さんのポケットのスマホが鳴った。取り出すと、ビデオ通話「フェイスタイム」に見知らぬ番号からの着信があった。画面に映る女性は、不思議そうにこちらをのぞいている。「間違い電話かな」と思いつつ、問いかけた。

 「どなたですか」

 「いや、そちらからかかってきているんですけど」

 やり取りがかみ合わず、電話を…

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