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 米大統領選に向け、共和党のトランプ大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)による初めてのテレビ討論会が29日夜(日本時間30日午前)、オハイオ州クリーブランドで開かれる。大統領選の候補者が直接意見をぶつけ合うテレビ討論会は、有権者が候補者を直接見比べることができる、少ない機会だ。夜のゴールデンタイムに生中継され、過去の選挙にも大きく影響をしてきた。

 今年は大統領候補の討論会が3回、副大統領候補の討論会が1回予定されている。オハイオ州立大学のデービッド・ステブン教授(米国政治史)は「1回目の討論会は両候補が直接対決する目新しさから、最も多くの視聴者を集める傾向がある。まだ投票する候補を決めていない層に大きな影響を与える」と話す。

 最初のテレビ討論会が行われたのは1960年。民主党のケネディ氏が若々しく、はつらつとした印象を視聴者に与えたのに対し、共和党のニクソン氏は体調が悪く、疲れた表情や額の汗を拭う姿が画面に映し出された。「テレビで見た人の多くはケネディ氏、ラジオで聴いた人はニクソン氏が勝ったと思った」と言われるが、選挙ではケネディ氏が勝利。影響力の大きさのあまり、次のテレビ討論会が開催されたのは76年の大統領選だった。

 80年は再選を目指す民主党のカーター氏と、共和党のレーガン氏が投票日の1週間前に1回だけ、討論会を行った。俳優出身のレーガン氏はカメラ慣れしており、短い言葉で生き生きと話す姿が斬新なイメージを視聴者に与えた。討論会までは接戦だったが、レーガン氏の大勝につながった。

 討論会のしぐさが、不利に働くこともある。92年には共和党のブッシュ(父)氏が途中で腕時計に目線を落とし、不評を買った。また、2000年は民主党のゴア氏が、共和党のブッシュ氏(子)の発言の間にため息を繰り返し、イメージを下げた。

 トランプ氏と民主党のクリントン氏が対決した2016年の1回目の討論会は、テレビだけで8400万人が視聴し、過去最多となった。ただ、終了後の世論調査ではクリントン氏が優勢だったと答えた人が多かったのに対し、選挙ではトランプ氏が勝利をした。(ワシントン=香取啓介、渡辺丘)