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 愛知県弥富市に、土地所有者の意向を無視して高さ10メートル、推定2万立方メートル以上の建設残土が投棄された問題で、所有者の男性(62)が、市の新庁舎の建設に伴う残土などが含まれていたとして、市と、庁舎建設や残土処分を請け負った大手ゼネコン熊谷組(東京)に計1350立方メートルの撤去などを求める訴訟を29日、名古屋地裁に起こした。

 提訴後の記者会見で、男性の妻は「早く撤去して、土地を元に戻してほしい」などと訴えた。

 訴状などによると、土地は金魚の元養殖池で広さは5100平方メートル。2017年、不動産業者から「土で埋め立てられる」「ただで田んぼにできる」などと持ちかけられ、搬入を認めると、ダンプカーで大量の残土が運び込まれるようになった。中止を求めたものの、翌年6月まで続いた。

 後に、残土の中には、今年完成した弥富市の新庁舎建設に伴うものと、熊谷組が持ち込んだ残土の計1350立方メートルが含まれていることがわかった。

 訴状では、弥富市に対しては「ただで残土処理を委ねたのは間違い」、熊谷組には「適正な処理をする責任があった」と指摘。その上で撤去と損害賠償150万円の支払いを求めている。

 弥富市と熊谷組は、ともに「訴状を受け取っておらず、コメントを差し控えさせていただきます」としている。

 この問題を巡っては、原告夫婦が、熊谷組などの下請けから残土を引き受けて搬入した三重県桑名市の自称建設業者(75)に対し、19年、残土の撤去などを求めて津地裁四日市支部に提訴。今年5月、同支部は請求を認める判決を出した。だがこの業者は「金がない」などと命令に応じず、残土の山はそのままになっている。

 代理人の村田正人弁護士は、「建設残土は投棄されても、発生者も排出事業者も責任が問われない問題がある。国には残土を巡る法制度を整え、不足している処分場を造るよう求めたい」と話した。

 一方、桑名市の業者は9月、不動産侵奪容疑で蟹江署から名古屋地検に書類送検されている。村田弁護士によると、業者はほかにも三重、岐阜両県内で残土の大量投棄の問題を引き起こしており、新たな告訴の準備をしているという。(臼井昭仁)