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 岐阜県は29日、今年の県内の基準地価を発表した。住宅地、商業地、工業地のいずれの用途も28年連続で下落した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、特に観光地や飲食店が集まる地域で、下落幅が大きくなった。

 7月1日時点の県内360地点の標準価格を県が調べた。用途別の1平方メートルあたりの平均価格は、住宅地3万2600円(前年比平均変動率マイナス2・0%)▽商業地8万8200円(同マイナス2・2%)▽工業地2万200円(同マイナス0・9%)。全用途の平均は4万5100円(同マイナス2・0%)だった。昨年から継続調査した348地点のうち、上昇した場所は5地点(前回37地点)にとどまり、横ばいは23地点(同71地点)、下落は320地点(同250地点)だった。

 住宅地で上昇したのは、交通利便性の高い多治見市の2地点のみで、いずれもJR多治見駅から徒歩圏内で幹線道路に近い地点。需要に対して供給が少なく、地価上昇の傾向が続いている。一方で、他の県内の地点では、新型コロナ感染拡大による景気の先行きの不透明感で、下落または横ばいの地点が相次いだ。

 商業地で上昇したのは、多治見市の2地点と岐阜市の1地点のみ。郊外の大型店舗に買い物客が流出している影響などで、昨年までも下落が続いている地点が多かったが、新型コロナ感染拡大の影響で消費がさらに冷え込み、下落幅が大きくなった。

 温泉旅館が立ち並ぶ高山市奥飛驒温泉郷平湯では、前年比の変動率がマイナス9・3%となり、全国で最大の下落率となった。インバウンド(訪日外国人客)の需要が戻る見込みがない上、国内旅行客も急減し、付近では複数の旅館が倒産に追い込まれた。

 岐阜市中心部の繁華街でも、大きく下落した。JR岐阜駅近くの繁華街・玉宮では近年、多くの飲食店が進出し、地価上昇が続いていたが、今年はマイナス6・0%と下落に転じた。柳ケ瀬商店街の2地点も、それぞれマイナス4・1%、同3・1%となった。感染拡大による外食需要の冷え込みが響いた。

 工業地は全ての地点で下落または横ばいだった。感染拡大の影響で、生産調整を余儀なくされている製造業で、今後の設備投資を控える動きがあり、地価を押し下げた。

 全国47都道府県の前年比平均変動率のうち、岐阜県は住宅地、商業地、全用途平均のいずれも全国で最大の下落率だった。県内調査の代表幹事を務めた、不動産鑑定士の小池育生さんは「前年まで下落傾向にあった地方圏の中でも、(新型コロナウイルスの感染者が多かった)岐阜県は大都市圏並みに感染拡大の影響が大きかった」としている。(松沢拓樹)