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 県が29日公表した今年の県内の基準地価(7月1日時点)は、林地を除く平均変動率で前年比0・6%の下落となり、7年ぶりにマイナスに転じた。昨年の台風19号で浸水被害を受けた地域のほか、新型コロナウイルスの影響で観光地や繁華街で地価が下落したことが響いた。

 調査対象は527地点。帰還困難区域の富岡、浪江両町の一部と大熊、双葉両町は対象から外れている。平均変動率は全国と同率だった。

 県内の地価上昇は127地点(前年201地点)で横ばいが88地点(同97地点)、下落は289地点(同210地点)で全体の半数以上を占めた。

 用途別で見ると、住宅地の平均はマイナス0・6%(同0・2%)。下落した市町村は47。相馬市や石川町は台風19号の浸水被害が押し下げ要因になった。上昇した市町村は前年の15から8に減り、上昇幅も縮小した。広野町や楢葉町で活発だった「復興需要」は福島第一原発により近い富岡町にシフトしている。

 都市部では、交通の便利な地域の需要が底堅い半面、郡部は人口減少や少子高齢化が進む会津地方や阿武隈山系の町村で下落幅が大きかった。

 商業地は平均でマイナス0・8%(同0・2%)。新型コロナによる経営環境の悪化で旅館街や観光地、飲食店の多い繁華街で下落した。郡山市もマイナス0・8%で7年ぶりの下落。夜型の飲食店が多い商業地域などで落ち込んだ。同市や石川町などの一部地点は台風の浸水被害も響き、下落幅が大きかった。

 上昇した鏡石町は中心部の商業地域に住宅も混在し、希少性や割安感などが好感された。浪江町はロボットテストフィールドなどの復興関連施設の開所で、国道114号沿いなどに事業再開の動きが出ている。

 地価調査の代表幹事を務めた不動産鑑定士の佐藤栄一さんは「新型コロナの影響は広範囲で、個別には台風被害が大きい。住宅地は様子見の状態で、商業地はオフィスや飲食など用途によって色合いが違う」と分析した。

 今後の見通しについては「新型コロナの要因がなくなれば比較的短期間で回復すると思うが、台風被害の影響は毎年大きな水害が起きうる状況でもあり、長引くだろう」とみている。(荒海謙一)

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