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 徳島県鳴門市の市民会館が30日、半世紀の歴史に幕を下ろす。成人式や歌謡ショー、スポーツ大会など様々な催しが開かれ、市民に親しまれてきたが、今冬にも解体され、跡地には市役所の新庁舎が建設される。市は11月、会館のお別れイベントを計画している。

 市民会館は1961年10月に建設された。鉄骨(一部鉄筋コンクリート)造りで、延べ床面積約2千平方メートル。市史によると、新たな集会場所を求める「市民の強い希望と協力」によって総工費約5500万円をかけた。内部の設備は、市内外の有志らの寄付金によって整えられ、開館記念行事は多くの市民でにぎわったという。

 当時、京都大工学部の教授だった建築家の増田友也氏が、隣接する市役所の現庁舎とあわせて設計を担当した。完成時のパンフレットには、2700人収容の広さで、舞台には音響反射板、天井には吸音板が取り付けられ、最新の音響設備を誇ったと記されている。

 開館後は、民謡の練習や歌謡ショーなどに利用されたほか、バレーボールやバスケットボールなどのクラブ活動、開館間もない62年から約2年間は、当時盛んだったローラースケート大会も開かれた。

 市は2018年、老朽化が進む市役所の現庁舎を建て替えるため、有識者らでつくる検討委員会を設置。一部委員からは、市内で多くの公共施設を手がけた増田の設計による建築物であることから「保存」を求める意見も出た。しかし、庁舎と市民会館を併設した現在地での新庁舎建設に向け、市民会館の解体は「やむなし」と結論を出した。

 市は今冬に予定する市民会館の解体を前に、現在の姿を立体的なデジタル画像にして保存し、市民から寄せられた古い写真などをもとに記録映像をつくるアーカイブ事業を進めている。(吉田博行)

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