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 東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県内の住民や避難者ら約3700人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、仙台高裁であった。上田哲裁判長は一審・福島地裁判決に続き、国と東電の責任を認め、一審の約2倍の約10億円の賠償を命じた。国が被告となった原発事故の集団訴訟では各地で地裁の判断が分かれているが、高裁判決は初めて。

 2018年10月に始まった仙台高裁の審理でも一審に引き続き、事故を引き起こした津波の予見可能性が争われた。

 原告は国が02年7月に公表した「長期評価」により福島県沖で津波地震が起きる可能性を指摘した点を踏まえ、国が津波を予見し、東電に安全対策を指示すれば事故を防げたとして、国と東電に約280億円の損害賠償などを求めた。一方、国と東電は長期評価の信頼性は低いため津波は予見できず、国の指針による賠償額以上を支払う必要もないと主張した。

 福島地裁判決は津波の予見可能性については原告の主張を認め、東電と国に計約5億円を支払うように命じた。一方、原告が住んでいた土地の放射線量を事故前の水準に引き下げる原状回復請求や、原告のうち帰還困難区域などに住んでいた40人が求めた「ふるさと喪失」への慰謝料は認めず、原告・被告とも控訴した。

 原告の弁護団などによると、これまでの原発事故をめぐる集団訴訟では、国が被告の13の訴訟で地裁判決が出た。うち7地裁は津波の予見可能性を認めて国に賠償を命じる一方、6地裁は予見可能性は認めつつも、国が東電に安全対策を指示しても事故までに間に合わなかったなどとして、国に責任があると認めず、高裁の判断が注目されていた。(小手川太朗、飯島啓史)