マスクをした人々が行き交う中、どこからともなく演歌が流れてきた。前かごにラジカセを載せた自転車をゆっくりこぎながら、東京・新宿歌舞伎町の一角にその人物は現れた。
ピンク色のアフロのカツラに、花柄の衣装、肩からぬいぐるみや造花を担ぎ、そして虎のお面をかぶる。
拡大する歌舞伎町を歩く新宿タイガーさん=2020年8月9日午後、東京都新宿区、藤原伸雄撮影
原田吉郎さん(72)、人呼んで「新宿タイガー」。ど派手な姿で45年近く、新宿・歌舞伎町のかいわいを自転車で回り、新聞を配り続けてきた。
新型コロナウイルス感染拡大の元凶とみなされた「夜の街」のいまを知ろうと、新宿を知りつくした彼に案内役を頼んだ。
まず向かったのは新宿ゴールデン街。細い路地沿いにバーやスナックなど約300軒が連なる。タイガーさん行きつけのバー「Troll(トロール)」を訪ねた。
拡大する新宿ゴールデン街のバー「Troll」で店主と話す新宿タイガーさん(右)=2020年8月9日夜、東京都新宿区、藤原伸雄撮影
店は、ゴールデン街のゲートを入ってすぐの路地沿いにある。外からガラス戸越しに店内が見えるつくりや、チャージなしのスタイルが受けて、近年は客の9割ほどが外国人だった。ラグビー・ワールドカップが開かれた昨秋は、観戦に訪れた来日客らで一帯はあふれた。
「東京五輪・パラリンピックの期間中は、安全のためにゴールデン街への入場規制をかけないといけないかも」。店主のマリーさんによると、当時、そんな話が持ち上がっていたという。
だが、新型コロナが街を一変させた。4月に緊急事態宣言が出され、「ゴールデン街全体が真っ暗。こんなことは今までなかった」。マリーさんは6月から店を再開したが、店をたたんだという話を周辺だけでもいくつも耳にする。隣のバーも、気づいたら店が変わっていた。
7月に入って少しずつ売り上げ…
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