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新型コロナウイルスへのグローバル対応に資金提供を

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長とフォンデアライエン欧州委員長が連名で、朝日新聞などに寄稿した。

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 率直に言って、新型コロナとの戦いは収束には程遠い状態です。

 世界的に憂慮すべき状況です。約100万人がこの疾病で命を落としており、何百万もの人が必要としている医療サービスが崩壊しています。雇用危機もあり、各国政府は国民の暮らしを守るため、経済対策として10兆米ドル超の資金を投入しています。また世界中の人々が、公共の利益のため個人の生活を犠牲にしています。

 パンデミックを収束させるためには、世界全体での取り組みが必要です。すべての人が安全な状態になるまで、誰もが危険にさらされています。誰もが新型コロナワクチンを利用できるようになり、どこでも必要な場合に検査や治療を受けられることが唯一の解決策です。

 現在は、グローバルな協力に対する歴史的なストレステストだといえます。しかし私たちはこの難局に立ち向かう準備ができています。新型コロナ対策へのアクセスを加速する仕組み「ACTアクセラレーター」が発足したからです。

 このグローバルな協働の枠組みは、各国政府、科学者、企業、またビル&メリンダ・ゲイツ財団などの慈善活動を行うグローバルな健康促進団体、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、FIND(革新的新規診断薬基金)、Gavi(Gaviワクチンアライアンス)、The Global Fund(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)、Unitaid(ユニットエイド)、保健慈善団体 Wellcome、WHOなどの国際的保健機関、そして世界銀行を連帯させるものです。

 「ACTアクセラレーター」は、治験や治療、ワクチンの研究や開発、世界への供給を推進します。1700の臨床試験、100カ国を対象に行った供給能力不足把握のための調査などすでにめざましい成果をあげています。

 これは、わずか5カ月、30億米ドルの予算で行われました。「ACTアクセラレーター」が必要とする約380億米ドルの資金を調達できたら、何をどれほど迅速に達成できるか、少し考えてみてください。

 「ACTアクセラレーター」のパートナーの試算は、必要な資金のすべてを調達できた場合、その回収は迅速にできるであろうことを示しています。それは危機は終結し、国際貿易と観光業が回復した段階でのことです。

 簡単に言えば、「ACTアクセラレーター」への資金拠出で、私たちはこの危機から迅速に立ち直ることができるのです。

 命が救われるだけではありません。各国経済がともに再開することになるので、最良の景気刺激策となります。2008年の経済危機の際と同様、中期的・長期的な経済回復には、グローバルなアプローチで、すべての国の貿易と信頼を回復させる必要があります。ワクチンや他の医療機器を公平に分配することは、慈善活動ではなく、確実な経済対策なのです。

 「ACTアクセラレーター」によって、規模の経済がうまれ、購買力が向上するため、政府の負担が軽減されます。個人用防護具や酸素など対ウイルス措置に必要なツールもすべて対象となり、すべての国がこれらを利用できるようになります。

 世界人口の約3分の2にあたる合計156カ国が、「ACTアクセラレーター」のワクチン部門であるCOVAXを通じてワクチン供給を受けることを約束しているかあるいはその権利を得ています。COVAXは、安全で有効なワクチンの開発に向け活動するとともに、医療従事者や低中所得国を含む各地の社会的弱者を保護しています。

 国連総会にはリーダーの皆さんがバーチャルに参加しています。これは、歴史的な機会であり、道徳的な要請に応えるべきときでもあります。世界各国のリーダーを動かし、資源をプールすることが非常に重要であることを理解してもらう機会です。

 世界は「新型コロナウイルス・グローバル対応」誓約のもと、すでに団結しています。グローバルな連帯による前例のない取り組みによって、多額の資金調達にこぎつけ、プロジェクトを開始できることになりました。しかし、さらなる資金が必要です。今日私たちは、リーダーの皆さんに「ACTアクセラレーター」への資金拠出を呼びかけます。すべての人にとって新型コロナの脅威のない未来を実現するため、投資しましょう。