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 冬にかけて新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行による医療崩壊を防ごうと、群馬県内でインフルの予防接種費用の助成拡大の動きが出ている。県は30日、主に65歳以上の高齢者を対象に今年度は無償化すると発表。子どもや妊婦の予防接種にも助成する自治体も出てきた。一方、予算面やワクチンの供給量不足への懸念から拡大に慎重な自治体もある。

 予防接種には、法に基づいて主に市区町村が実施する定期接種と、希望者が各自で受ける任意接種がある。定期接種は65歳以上の高齢者と60~64歳で呼吸器などに基礎疾患を持つ人が対象。住民基本台帳(今年1月1日時点)によると県内の65歳以上は57万6千人。県内全市町村に助成制度があり、自己負担額は市町村ごとに異なる。

 県の今回の無償化は、すでにある各市町村の補助に上乗せする形で、定期接種を受ける人の自己負担分を県が負担する。任意接種は対象外だ。保健予防課の担当者によると、来年度以降は未定という。

 一方、自治体によっては任意接種への助成も進む。

 富岡市は10~12月の3カ月間、3~18歳と妊婦を対象に予防接種代4700円のうち3500円を助成。民間保育施設や学童クラブなどに勤務する職員約600人も対象とする。

 安中市は今年度入試を控える中学3年生と高校3年生の自己負担を1千円にし、不足分は公費で負担する。太田市は2017年度から設けている安中市と同様の助成制度を続ける。

 南牧村は今年度、これまでの生後6カ月~18歳の助成対象を全村民に拡大した。下仁田、甘楽の両町は3~18歳と妊婦が1200円の自己負担で受けられるようにする。みなかみ町は今年度、助成対象に妊婦を加えた。助成額の上限は3千円。上野村は生後6カ月~18歳と妊婦、1歳未満の子どもがいる親への3500円を上限とした助成を続ける。中学生以下の子どもや高齢者に関わる仕事に従事している人にも2千円まで助成している。神流町も生後6カ月~18歳への全額助成を続ける。神流、下仁田の両町は12歳まで2回目の接種も助成対象だ。

 しかし、助成拡大に慎重な自治体もある。前橋市や高崎市は現時点で任意接種への助成を行う予定はないという。理由は、ワクチン不足への懸念と費用だ。

 厚生労働省は9月11日付の事務連絡で、インフルエンザワクチンの接種時期について、65歳以上の定期接種対象者を優先し、それ以外については10月26日まで待つよう呼びかけた。現在の4価ワクチンとなった2015年以降で、最大の供給量となる3178万本(成人6356万人分)の確保見通しを示しつつ、「コロナ禍の影響で冬に向けて需要が高まる可能性がある」としている。

 高崎市によると、定期接種の接種率は例年50%程度で、今年度はコロナ禍の影響で増加を見込む。助成範囲を任意接種まで拡大すればワクチン不足の恐れがあると担当者は指摘。「助成範囲を広げても、ワクチンが確保できないのでは困る」。別の市の担当者は「人口が多い地域は難しい」と説明する。高齢化率は年々上昇し、定期接種の市負担も増える可能性が高く、財政を圧迫する恐れがあるという。

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 県は30日、無償化の必要経費7億8600万円を計上した今年度一般会計9月補正追加予算案を県議会定例会に提出した。10月1日の本会議で可決され次第、即実施する。補正後の今年度予算額は、8554億4200万円となる。(中村瞬、野口拓朗)