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 犠打、犠打、そして犠打――。走者が出れば、たとえ1死でもバットを寝かせる。高校野球の秋季四国大会で、愛媛3位の小松が4強入りと躍進した。31日の準決勝で聖カタリナ(愛媛1位)にサヨナラ負けしたものの、計3試合で記録した犠打は計15。徹底する理由があった。

 24日の1回戦、鳴門渦潮(徳島2位)戦の先制打も犠打がきっかけだった。三回、先頭が出るとすかさず2番下迫創太(2年)が三塁方向へ犠打。2死二塁となって4番赤尾颯斗(同)の中前打で1点をもぎ取った。終盤にも犠打を絡めて5点を追加し、6―2で勝った。この日、決めた犠打は8を数えた。

 「自分たちは体が大きくないので、つなぐ打撃をしないと全国に通用しない」と、主将の赤尾は言う。赤尾の身長は165センチで、2番下迫が163センチ、3番尾崎伍(あつむ)166センチと上位打線に小柄な選手が並ぶ。レギュラー野手8人中4人が160センチ台で、平均身長は171センチと決して大きくない。勝ち上がるために考えた“小兵の戦法”が犠打の多用だった。1カ所でのバント練習に時間を割き、緊張感を持って鍛えてきた。

 むろん大振りも慎む。新チーム結成当初の8月は振りが粗かった。練習試合でフライを打ち上げることが多く、壁にぶち当たった。「大きいのはいらん」。選手間で意識を変え、いまは指1本分短くバットを持って中堅への打球を意識する。「これなら体が小さくてもできる。小松の野球です」。赤尾は胸を張る。

 宇佐美秀文監督(63)は「考える野球」で川之江、今治西の公立校を強豪校に育て、2010年に当時は甲子園出場経験がなかった県立の小松の監督に就任した。4年後、全国選手権初出場を遂げた。いまのチームの戦い方について「上位打線は小さいし、相手がいい投手だとなかなか適時打は出ない。犠打を絡めて次の塁をとる。主導権を渡さないためにリードしても犠打を徹底した」と話す。工夫を重ね強豪私学とわたりあってきた指導者ならではの考えだろう。

 25日の準々決勝の決勝点も犠打で奪い3―2で寒川(香川1位)を破った。準決勝は県大会準決勝で敗れた聖カタリナに再び挑んだ。延長十二回に力尽き2―3で敗れたものの、らしさを貫いた今秋の戦いで十分な手応えをつかんだはずだ。(大坂尚子)