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 コロナ禍の中、今年度初の全国大会となった柔道の講道館杯全日本体重別選手権。31日に開幕した第1日の7階級の中で最初に決勝が行われた男子60キロ級の試合中、審判の判断や電光掲示板の操作でミスが重なり、試合が中断した。一度、「一本」と宣告されたポイントが取り消されて、会場が騒然とする場面があった。

 米村克麻(センコー)と小西誠志郎(国士舘大)の対戦。まず米村が立ち技で技ありを奪った。直後に両者が畳に崩れ落ち、寝技の攻防で小西が米村を抑え込んだ。しかし、係員が、攻めているのが米村だと勘違いし、米村の攻撃として寝技のタイマーを押してしまったという。

 直前に技ありを奪っていた米村は、10秒で抑え込みが技ありとなり、合わせて一本となる。このため、小西が抑え込んでいるにもかかわらず、10秒後には試合終了のブザーが鳴動した。

 ところが、主審は、米村が技ありを二つ奪ったと示していた電光掲示板が間違っていることに気がつかず、ブザーを聞いて「一本」を宣告。両者は離れて、互いに立ち上がった。

 ここで会場がざわつき出した。電光掲示板は相変わらず、抑えられていた米村の勝利を示していたからだ。このため、コーチボックスから抗議の声が上がって、ビデオによる検証が行われた。

 すると、抑え込んでいたのは小西で掲示板が間違っていたことは認められ、10秒しか抑え込んでいないので一本は取り消された。それでも本来ならば技ありのポイントは得られるはずだった。だが、審判団は協議の末に「実は(ブザーが鳴る前の)8秒で抑え込みが解けていた」と判断を変え、技ありのポイントさえも消してしまった。

 改めて、小西が抑え込んだ状態から試合が再開されたものの、ここでは米村が必死に抵抗してポイントを許さなかった。そのまま4分間の試合時間が終了。電光掲示板には米村に技ありが一つ、あるだけ。

 勝者は米村となり、一時は一本勝ちと思われた小西は敗者になった。小西のコーチボックスからは「メチャクチャじゃないですか」という抗議の声が上がった。抑え込みの技ありが認められていれば、延長戦に入るはずだった小西もしばらく畳を下りようとしなかった。

 勝った米村は「優勝できたんですけど、なんか気まずいというのが正直な気持ち」と複雑な表情。

 負けた小西は「抑え込んで勝ったと思ったのに、いつ、止まったのかも分からなくて。技ありも取り消されて」と不満が残った。

 大迫明伸審判長は「残念なことが重なった」と釈明。全日本柔道連盟の大会事業委員会などで検証することを明らかにした。