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 大阪市をなくして四つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票が1日、投開票される。争点に関する賛成派・反対派の議論がかみあわないまま、この日を迎えた。果たして、市民の審判は。

 関心が高い住民サービスについて、賛成派の大阪維新の会や公明党は「地域の実情に応じたきめ細かな対応が実現できる」と主張している。特別区が誕生すれば、選挙で選ばれた区長と区議会が独自に予算編成や条例制定ができるようになるためだ。高齢者が地下鉄やバスを安く利用できる「敬老パス」やこども医療費助成、中学生対象の塾代助成など市独自のサービスも維持できると説明する。

 反対派の自民党や共産党は「特別区の間で格差が生じる」と訴える。都構想の協定書では、特別区に再編する2025年1月1日時点では市独自の住民サービスを維持すると明記してあるが、その後の対応は各特別区が決めるからだ。「財源不足で住民サービスは低下する」とも指摘する。プールや老人福祉センターなどの公共施設が減る可能性があるとする。

 議論が一向に深まらないのは、特別区の財政見通しに根本的な違いがあるためだ。府と市は、特別区の設置に伴うシステム改修や庁舎整備などの初期コストが241億円、その後の運用・管理などに毎年度30億円かかると試算。維新代表の松井一郎市長は、これらのコストは「(大阪の経済成長に向けた)投資に見合う」と主張する。25~39年度の15年間は特別区全体で各年度17億~77億円の黒字になるとの府と市の財政シミュレーションを踏まえ、安定的な財政運営が見込まれると強調する。

 反対派は「非常に甘いシミュレーションだ」と批判している。新型コロナウイルスによる税収の落ち込みが反映されておらず、市が株式を100%保有する大阪メトロからの配当金などを毎年度71億円過大に見込んでいると訴える。自民市議団の北野妙子幹事長は「71億円を引くと(財政収支は)完全に0以下になる」と指摘。自民は、特別区全体で26~28年度を除く各年度で収支不足が発生し、最大48億円の赤字になると試算する。

 都構想の意義という、根本的な争点もすれ違ったままだ。維新と公明は「府と市の二重行政の解消で、大阪のさらなる成長を目指す」とし、自民や共産は「すでに二重行政はない。政令指定市の権限と財源が失われる」と反論する。

 論争がまったく深まらない状況に、維新が23日に開いた街頭演説に参加した男性は松井氏に訴えた。「賛成派は都構想のすべてをいいと言い、反対派はすべてを否定する。実際のところ、よく分からない。(都構想に)イエスかノーか悩んでいる」(多鹿ちなみ)