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 「とほ宿(やど)」をご存じでしょうか?北海道に46軒、道外を含めると53軒あります。語源は「徒歩」と唐代の詩人の「杜甫」。リーズナブルな価格で、宿泊客どうしも「宿主」と呼ばれるオーナーとも、ほどよい距離感で交流できる心地よさが魅力です。新型コロナウイルスの影響で受け入れ人数は減っても、日々、見知らぬ人どうしの出会いが生まれています。

 9月上旬のとある日、網走市から車で45分ほど西の「サロマ湖ゲストハウス さろまにあん」(佐呂間町)に、記者を含め6人が泊まっていた。みんなで夕食を食べた後、「お茶会」という名の飲み会に移った。

 最初の話題は、泊まった理由や旅程について。男性が翌日泊まる予定のとほ宿の名を挙げると、「えっ? 先週末泊まってましたよ」と女性が応じる。話すうちに共通点が見つかり、距離が縮まっていく。

 日本酒や焼酎など好みの酒を酌み交わし、飲んだ量に応じてカンパする。もちろん、ノンアルコールでも参加できる。カップル、10回以上訪れているリピーターの女性、幼い頃近所に住んでいた男性。何のつながりもなかった人々が、旅のひとときをともにする。さながら旅人たちの交差点だ。

 「とほ宿」は、1986年から毎年ほぼ1冊のペースで刊行されてきた冊子「とほ」に載った宿の通称。創刊時の代表者が、詩と酒を好んだ自身を「杜甫」に例え、さらに焦らず旅を楽しんでほしいとの思いを込め「徒歩」ともかけたのが始まりとされる。その創刊号に、こうある。「旅の宿での目的はただ寝るだけの場所にあらず」

 とほ宿の多くは男女別の相部屋…

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