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 中国・内モンゴル自治区の小中学校で9月から中国語教育が強化されたことに対し、各地のモンゴル民族から反発が強まっています。隣国のモンゴル国とは別に、中国内にある「モンゴル」。どのような地域で、なぜ二つのモンゴルが存在するのでしょうか。東京外国語大の二木博史・名誉教授(モンゴル史)に聞きました。

――内モンゴル自治区とは、どのような地域ですか。

 中国北部の内陸部にあり、モンゴル国の南側国境に接しています。2010年の国の調査によると、人口約2500万人のうち約80%が漢民族で、約17%がモンゴル民族です。中国には漢民族以外に55の少数民族がいて、モンゴル民族もその一つ。中国全体で約600万人いるうち、約450万人が内モンゴルに住んでいるとされています。自治区内には、モンゴル語で授業を行う民族学校が多くあります。

――モンゴル語が母語の人が多いのですか。

 中国では、憲法で「すべての民族は、自分たちの話し言葉と書き言葉を使用し、発展させる自由を有する」と定められています。さらに「民族区域自治法」も、各民族の幹部に標準中国語の学習を義務付けると同時に、漢民族の幹部にもその地域の少数民族の言語の学習を求めています。

 そのため、他の地域に比べればモンゴル語を使う人は多いのですが、専門家の調査によれば、約450万人のモンゴル民族のうち、モンゴル語を不自由なく使いこなせるのは3分の1程度というデータがあります。この数は減少傾向にあり、モンゴル語をいかに維持していくかが課題となっています。10年前ごろからは、子どもの数が減っている農村部を中心に民族学校の合併が進み、学校の数も減ってきています。

――同じモンゴル民族でも、内モンゴルとモンゴル国で言語や文化、宗教などに違いはあるのでしょうか。

 それぞれの「標準語」はほとんど同じです。実際に日常で使われている言葉は、元々は方言程度の違いでしたが、時代が進むごとに変わってきました。国境付近では今も違いはあまりないですが、モンゴル民族が多い内モンゴル東部では語彙(ごい)に中国語が交ざったり、一部の発音が違ったりします。

 文化的には、モンゴル国はソ連と関係が深かったため、その影響を強く受けています。一方、内モンゴルは漢文化の色が濃いですね。ちなみに伝統スポーツである「ブフ」(モンゴル相撲)は、衣装やルールの違いはありますが、両方に存在しますよ。それから、宗教は両方とも16世紀以来チベット仏教が中心で、それは現在も変わっていません。

――内モンゴルのモンゴル民族は、自分たちのアイデンティティーをどうとらえているのでしょうか。

 全体的に、モンゴル民族として…

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